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2016年 08月 30日

わたしは明日、映画館に行けるだろうか

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 桜庭一樹読書日記を読むためにWeb ミステリーズ!をブックマーク
したが、トップ頁にJ・Gバラード『ハイ・ライズ』の紹介がある。

 ハヤカワ文庫版のときは『ハイ-ライズ』だった。ハイフンを英数に
しないで"ハイーライズ"表記してる例も、webの通販目録にあった
なあと、なつかしく(?)思い出す。

 ふーん、映画化されたので創元SF文庫で復刊なのか。ハヤカワ文庫は
売ってしまったから、こちらを買って読み直してもいいかな。
 高層階=お金持ち=えらい、低層階=貧乏人=つまらない存在、という
図式化がくっきりした、階級社会批判むき出し、イギリス社会派SF丸出し
だった印象だけれど、字が大きくなっているだろうし。

 で、そのまま映画化のことを忘れ、二、三日前に<映画『ハイ・ライズ』
と検索して驚いた。渋谷でしかやらないし、9月2日まで、である。

 予告篇を見ても、映画が面白いかどうか判断できない。たんに原作を
なぞってるだけ、なんだやっぱり社会派じゃん、になるだけの可能性
(こちらが強い?)もあれば、低予算風味で好き、となるかもしれない...。
 いずれにせよ、映画館に行けばトム・ヒドルストンとジェレミー・
アイアンズをスクリーンで見ることはできる。(他の役者を知らない。)
 そのために渋谷に出向いて、坐っていられる時間ぎりぎりの2時間を
過ごす...。書いていると、ますます行く自信がなくなってきた。
 どうなるかしら。





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# by byogakudo | 2016-08-30 17:20 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2016年 08月 29日

シーリア・フレムリン/押田由起 訳『夜明け前の時』読了

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~8月27日より続く

 謎めいた間借り人は赤い鰊ではないかしらと、期待を込めて
推測したが、見当は外れ、真っ当に間借り人の謎が解明された。
だからといって残念ではなく、とても巧いフェミニズム・ミステリ!

 1992年に初訳されたときに読んだとしても面白がれただろうが、
女も家庭外で働け__仕事もないのに?__、次世代の労働者/
消費者/納税者を再生産しろ__生んだ後の育児や家事労働は誰が
担うの?__、二重に二律背反する要望を政権から押しつけられる、
現役の子育て世代の女性や男性がいま読んだとしたら、あまりの
アクチュアリテに、物語を楽しむどころではなくなるかもしれない。
 ひとごとじゃないのだ。子どもを再生産したことのないわたしが
読んでも、ヒロイン・ルイーズの、常に片づかない用事に追われて
焦燥、絶望するありさまに、共感するばかりだ。

< まだ誰も起きてはいないようだ。ルイーズ・ヘンダースンという
 母親ロボットの作動ボタンを押しでもしたように、機械的に赤ん坊を
 ベビーベッドから抱きあげて、階下の洗い場へ降りていった。>(p174)

__夜泣きする赤ん坊の寝室の真上に間借り人の部屋があるので、
ヒロインは夜中の二時に起きて、寒々しい洗濯場で授乳する。

 ヒューマーたっぷり、自意識いっぱいに、ヒロインの視点で綴る
ファミリー/サスペンス/アクション・ミステリの白眉!__という
惹句では物語を要約したことにならないか?

 頼まれ事を断るのが下手、子どもたちがうるさいと、隣人からいつも
文句を言われっぱなしのヒロインは__

< もしいまミセス・フィリップスに、「ええ、そりゃそうでしょうね」と
 言い放つなり、さっさと庭先の小道を歩いていってしまったら、どんな
 ことになるだろうとルイーズは考えた。人づきあいを避ける主義の人たち
 はそうするのだろうか。
 [略]
 郊外居住生活の技巧家たち__殺人や自殺や強姦に直面しても、人づきあいを
 避ける主義を守りとおすことに成功しているヒロインたち__を、ルイーズは
 うらやましく思った。その不毛の技術を完成させるためには、何年もの研究と
 修練が必要なのだろうか。それとも、生まれながら身にそなわったものなのか。
 言葉も交わさずにミセス・フィリップスの横を通りすぎるために必要な__
 ライオンの群れのなかを行く預言者ダニエルのように、無傷で自宅の前庭を
 通りぬけるために必要な__冷ややかな特質は、単なる天賦の才にすぎない
 のだろうか。
  「すみません、フィリップスさん」とルイーズはあわてて言った。「ちょっと
 出かけていたものですから。[略]」>(p235~236)

 全編、こういう感じで語り進む。家庭生活はほんとに冒険的なのである。
 
     (シーリア・フレムリン/押田由起 訳『夜明け前の時』
     創元推理文庫1993年3版 J)





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# by byogakudo | 2016-08-29 21:55 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
2016年 08月 28日

西荻散歩(盛林堂/UNTIDY)

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 やっと雨が降ってない日だ。それに太陽が照りつけてもいない。
ここで歩かなくて、いつ歩く? 今日はまだ夏休みでもある日曜日
だから近場にする。高円寺は踊り狂ってそうだから止める、西荻の
お祭りは...、たぶんまだ。

 2pm前に部屋を出る。青梅街道・東高円寺から関東バス・吉祥寺駅
行きに乗る。五日市街道・春日神社の先、4つ目だったかで下車。

 何本もある西荻窪駅南口から/へと続く商店街の外れである。駅方向に
歩き、途中で脇の住宅地に入ると、涼しいので猫も出ている。
 以前見た廃屋(鬱蒼と樹木の茂るお庭と建物の面積比が 1・5対1 くらい)
がまだ在った。洋館の玄関前の空間に、ゴミ袋の山が崩れて敷きつめられた
ような按配で、残っている。
 
 また商店街に戻る。UNTIDYを再訪したいが、どの商店街だったか。
 南口のドトールで休んでから、盛林堂へ。こちらの道筋は分かる。
店頭で単行本2冊、店内で文庫本2冊。レジに出そうとしたら、岡崎武志氏!
ちょっとお話する。

 盛林堂を出て、今日は閉まっている西荻デパートの先、UNTIDYへ。
小さな(縦横 5.5×5cm)スウェーデン製の額縁を買う。ここはいいなあ。

 JRと地下鉄で戻ってくる。東高円寺でも猫に会う。フレンドリーなエサ待ち
猫たちだった。





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# by byogakudo | 2016-08-28 21:10 | 雑録 | Trackback | Comments(0)
2016年 08月 27日

シーリア・フレムリン/押田由起 訳『夜明け前の時』1/4

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 きれいな名前だなあ、女性ミステリ作家の中でいちばんきれいな響きだ、
(Ngaio Marsh とどっちだろう?)と感心した覚えのある Celia Fremlin だが、
読むのは初めて。
 サスペンスというジャンルがあまり得意ではないので読まなかったのかしら?
追いつめられて行くヒロインの恐怖と苦痛に、深刻なタッチで同調させようと
する作者の手つきが(アイリッシュとか)めんどくさくて、途中でやめることが
何度かあり、サスペンスものはちょっと、と敬遠してきたのだろう。

 『夜明け前の時』は子育てドタバタ喜劇風味なので、サスペンス=面倒・説に、
いまのところ、なってない。そのうち、じわじわ恐怖感が全面を占めるのかも
しれないが。

 夜泣きする乳飲み子(男の子)のために夜中と明け方には朦朧と起きて授乳
しなければならず、ヒロインは慢性的睡眠不足だ。昼間はさらに、娘ふたりの
お喋りや騒ぎに巻き込まれ、家事は永遠に片づく気配がない。仕事から戻って
きた夫は子どもや赤ん坊の引き起こす騒ぎをうるさがるだけで、何も手伝わない。
 1958年原作刊。この頃のイギリスの男には遺憾ながら、妻とともに子育する
思想はなかったようである。

 そんな喧しい一家の屋根裏部屋を借りる女性(あまり若くない)が出てくる。
まだちらほらとしか出てこないが、ヒロインもそのママ友(断ることの苦手な
ヒロインは彼女たちから赤ん坊を預けられたり、上がり込まれて長っ尻されたり
している)も、間借り人に何となく既視感を抱くが、誰だったかなぜなのか、
思い出せない。
 その間借り人はじつは、という話であろうが、しかし、このヒューマーある筆致
(子育て自虐史観タッチ、とでも言おうか)から推測するに、間借り人は赤い鰊で、
まるで違う方面に着地しそうな気もする。

     (シーリア・フレムリン/押田由起 訳『夜明け前の時』
     創元推理文庫1993年3版 J)

8月29日に続く~



 憲法改悪(改憲)勢力が2/3を占拠したことだし、TV局はおとなしく政権側の
言い分のみ放送するようになった。では、またそろそろ”共謀罪”を新しい名前で
出してみようか、という安倍晋三どもである。本の外の"現実"と称される世界の
ほうが、よっぽどサスペンスフルだ。

 8月27日付け東京新聞・夕刊、6面『詩歌への招待 戦争と平和』特集に、
『隣組』というタイトルの永田和宏の短歌があった。
 歌の背景は、

< 地域の自治会の班長という役が回ってきた。やってみて実感することは、
 自治会は可能性としてはとても怖い組織だということ。上部から降ろされて
 くる情報は漏れなく全戸に伝え、これは不要だろうなどと言える雰囲気がない。
 上意下達の世界である。しかし地域の為(ため)にという旗印のもと、こういう
 善意からなされる行為に意を唱えることは、権力にノンを突きつける以上に
 難しい。隣組は決して過去の遺物ではないのだ。>

<公園掃除の通知と一緒に配られるだらうたとへば緊急事態宣言>
<権力よりはるかに怖い ご近所のいい人たちのさりげなき視線>
<統制もまた摘発も善良なる隣組なら任せておけよう>

 
 永田和宏の左側にある、鳴門奈菜の俳句の背景は、

< 「戦争が廊下の奥に立つてゐた」という句は渡邊白泉の作。>
と始まる。





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# by byogakudo | 2016-08-27 18:38 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
2016年 08月 26日

日下三蔵 編『怪奇探偵小説名作選4 佐藤春夫集 夢を築く人々』を少し

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 これは一気に読まず、ぽつぽつ読みになりそうだ。まだ、『西班牙犬
の家』『指紋』を再読、『指紋』の続編『月かげ』を読んだだけ。

 平凡社ライブラリー版を読んだ7月15日にも感じたが、佐藤春夫の
文体の粘っこさが、むかし、新潮文庫の『昭和ミステリー大全集 上』
で『指紋』を初めて読んだときに、気にならなかったのはなぜだろう?

 むかしはストーリーにすぐ乗っかれて、そのまま小説世界を漫遊できる
体質だったから? いまでは、脳の水分量低下(脳のミイラ化)が進行して
物語の中にもぐり込んで一体化する能力が失われ、もっぱら小説の構造を
面白がる方向にしか脳が向かわなくなったのだろうか?

 かわいそうに、とも思うけれど、まだ別方面で面白がれるのなら十分だ。

 『昭和ミステリー大全集 上』 (1991初)はセレクトがほんとに楽しかった。
あれで渡辺温や地味井平造を知ったのだった。
 しかし、いま読むと活字が小さくて苦痛、とか言い出しそう...。ちくま
文庫版(2002初)のこれも、一冊に収めるための処理__天地左右の余白
を切り詰めてある__が辛い。

 『指紋』や『月かげ』は、映画が20世紀の記述にどんなに影響したかを
示す例でもあるだろう。映画で見る指紋のクロースアップや、阿片窟で
知っていた映画俳優が出てくることではなく、記述が映像的であることだ。

 『指紋』の話者"佐藤君"の友人、R・Nの映画論__
<彼は活動写真を芸術の最も新しい立派な一様式だ、そうして科学が
 芸術に向って直接寄与した唯一のものである、それは白日夢の喜びを
 最も確実に実現した、一個の別世界をわれわれの前に啓示し、開展した。
 と断言した。>(p29)

__この理論の実践的記述が、『指紋』の続編にあたる『月かげ』では
ないかしら。
 月の光を浴びると、即座に水音を聴き、月と水とが切り離せない存在に
なったきっかけが記される。

 阿片の見せる夢や幻覚であろう。霧が流れる満月の夜、天空を進む帆前船
(ほまえせん)を、(スクリーンである)窓から見る。反対側の窓から水音を
聴き、一面の水景を見る。
 先の窓の下からも別の水音がする。噴水のある水汲み場での若い男女の
ドラマを見る...。

 このできごと或いは阿片の夢は、R・Nが外国("西洋")で体験したこと、
であるかのようだ。R・Nが眠れぬ床から起き出して、カーテンを引き開けた
窓から外を見る様子や眼前の風景の描写は、畳くさい記述ではない。
 しかし、水汲みの女の甕からこぼれる水の描写__

<その甕を上においた地面は水を吸いこんで黒ずんで見える。
 [略]
 甕の口から今こぼれ出た水の痕(あと)が、道を横切って、地に一条の
 黒い線を残す。>(p80~81)
__石畳ではない、鋪装されてない地面である。"西洋の"いなか町だと解釈
すれば地面でもいいけれど、これもまた、木造モルタルの王国で夢見られた
西洋のヴィジョンではないかしら。
 遠く離れた日本で夢見られた、西洋への憧れ。

     (日下三蔵 編『怪奇探偵小説名作選4 佐藤春夫集 夢を築く人々』
     ちくま文庫 2002初 J)





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# by byogakudo | 2016-08-26 17:21 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
2016年 08月 25日

『桜庭一樹読書日記』web版、読了

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~8月22日より続く

 遡って読んできたweb版『桜庭一樹読書日記』を昨夜、読み終える。
つまんないことを書くけれど、目が悪くなっているなあと思い知らされた。

 macbookの光量を最大から3下げて画面を見ているが、目のちらつき、
ちょっと画数の多い漢字の読みにくさ、読み終わっての目の疲れ、ひどい
ものだ。
 i phone、欲しいな、地下鉄の中で「青空文庫」を出して岩野泡鳴が読める
じゃないかと思っていたが、いくら文字が拡大できるとはいえ、拡大すれば
画面内の文字数が減る。ひと息に読みたい適切な分量があるのに。
 眼精疲労以外の大問題、ではないか。


<いつもの目で書棚を眺めた後、はっと我に返って、国内の新刊を注意深く見た。
  新人賞の選考のことで、いろんな人と話したり相談したりしながら、ここ
 数週間、つらつらと考え続けてることがある。
  選考委員になると「新しい風を!」とか思うけれど、ではほんとうに新しい
 小説がやってきたときに、自分はちゃんと、ナイスポーズで、びしっと青年の
 顔を指差し「おい、そこの君……。風だッ!」と言えるのかな。
  わたしは昔の本と外国の本が好きで、ほっとくとそっちにばかり行ってしまう
 けど[略]、歴史を知ることや、スタンダードを愛で、学ぼうとすることと同時に、
 いま書かれているものもちゃんと読んで、これは面白い、これは ウーン? と
 普段から運動として自然に感じてないといけないんじゃないかな、と思った
 のだ。>
(またまた桜庭一樹読書日記 【第4回】(3/3)[2010年11月])

< いま資料を山にして順に読んで、大量にメモをとりながら、その世界のための
 目には見えない“魔法陣”を作りあげている途中だ。頭の後ろに鬼がいて、空洞に
 なった頭の中から、自分の手元を見ているような感じ。
  ずっと小説の神さまだと思ってきたけれど、だから見捨てられるような生活を
 してはいけないと思ってきたけれど、これはもしかしたら鬼だったのかもしれ
 ない。鬼だから、もちろん供物がいる。ぶじに生き続けるという安心を心から
 エイと捨てて、自分の大事ななにかを、とにかく捧げ続ける。>
(まだ桜庭一樹読書日記 【第7回】(4/4)[2013年3月])

 日記中ではたくさんの本が紹介される。本のタイトルをクリックすると
あまぞんの頁に飛んで行く、webの性質を活かした作りだ。

     (東京創元社のウェブマガジン Web ミステリーズ!)





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# by byogakudo | 2016-08-25 22:40 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
2016年 08月 24日

アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『グッド・パンジイ』読了

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~8月23日より続く

 一昨日までのポートランドからさらに移動してアルバカーキ、さらに山奥の
秘密のアジト...と、広いアメリカを転々とするバーク(たち)である。最後に
海上での対決で締める。

 しかし、これだけ何度となくバークの少年期からの出来事のおさらいをやり、
過去の事件が(あたかも!)今回の事件の伏線だったと言いながら、こんな
展開で終結させていいのかなあ。時間と空間をこれだけ拡げて、こう締める?
 疑問の残るストーリー・テリングだ。

 まあ、親と子どもの近親姦は強姦だ(子どもとの性行為は性的虐待に他なら
ない)、の一点張りでバーク・シリーズを18冊書く。猛烈なエネルギーである。
 アンドリュー・ヴァクスの書き続けるエネルギーは、主人公・バークと同じく、
怒りを燃料としているのだろうか。怒りに本人が焼き尽くされないで、小説化
し続けられるのが、タフだなあ、すごいと思うけれど、これ以後、翻訳が行わ
れていないのも、無理はないとも思う。

 バーク・シリーズは、裏側からのアメリカン(・ファミリー)・ヒストリー
だろうか。バークとそのファミリー(仲間たち)は移民の国、アメリカを象徴
して、人種もちがい、生物学的な血縁関係はゼロだが、必要とされるときには
一族として結束する。テンポラリな共同体ってのは好きだけれど。

     (アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『グッド・パンジイ』
     ハヤカワ文庫 2003初 帯 J)



 地方には仕事が少ない。自衛隊は役所勤めのように、地方の安定した
就職先のひとつだ。自衛隊員になったとき、災害救助の面では頑張ろうと
思ったことだろうが、国外の紛争地で人を殺したり殺されたりする可能性に
ついては、これまでの契約条項にはなかった筈だ。戦争法でいきなり追加
された契約条項である。

 自衛隊員はこれを拒否する権利がある。防衛相・稲田朋美が、自分は行く
ことがないので、靖国が待っているから安心して行ってくれと調子よく宣おうと、
断固、拒否すべきである。安倍晋三・独裁政権の言う安保法は、そもそも憲法
違反なのだから。

 ちまたに戦争の影が射す。いつも愚劣な法話でいらつかせる住職だが、
息子が住職資格試験(?)最終段階の生死を賭した修業に達した、と
話した際、
 「生死の境にある戦場で上官が兵士の命を気づかうように、修業を見守る
師僧もまた、云々」と口走り、おっと、どうしたと思ったことである。
 もう戦前ムードに汚染されているのか。そしてそのことに気づかないでいる
のか?

 先日もまた、しなきゃいいのに法話する。読経のフレージングやアーティキュ
レーション(?)から洩れてくる自意識がうるさいのに、かてて加えて愚かしい
法話をする。

 言いたいことはつまり、学業優秀な息子を、もっと直接に世の中の役に立つ
仕事のできる息子なのに、坊主にさせますが、みなさん、お引き立てのほど、
どうぞよろしく、である。

 息子が東大理1、それがどうした。自身も東大みたいだが、
 「先代が杉並区に寺を移しましたが、慶応閥の界隈に東大閥の寺がやって
参りまして、云々」と口走る。無意識がほとばしった、というところか。
 僧侶が慶応だの東大だの、平気でという言葉を使うことに何の
疑問も持ってないようである。
 偏差値だけ高い無教養の男が、戦争モードに軽々と乗っかって行く。
いやな時代が始まっている。





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# by byogakudo | 2016-08-24 23:30 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
2016年 08月 23日

アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『グッド・パンジイ』半分

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 例によって分厚いけれど、前作『クリスタル』より話の進み方が
早くて助かる。(?!)

 バークが罠に陥る。子どもの虐待に関しては、報酬の問題を離れても
熱心になる点をつかれたのだ。死にかけ、片目を失い、容貌も変わり、
相棒である犬のパンジイは、バークを助けようとして殺される。
 一命を取り留めたバークは、真犯人を追って、シカゴ、ポートランド
へと移動する。手がかりは息子を誘拐されたロシア人夫婦、だけだ。

 ジェムというカンボジア系の女が今回のヒロイン。彼女は外国語の才能で、
ポル・ポト政権下の少女期を生き延びた。ロシア語もできる。

 ふたりで、ホテルの深夜のTVニュースを見ていると、

<場末のカジノで、友だちが幼い女の子をさらうのを目撃した男のインタヴュー
 の一部が再放送されていた。そいつが子供をトイレの個室にひきずり込み、
 ことにおよぶのを見たのだという。見るのをやめると、男はその場を離れて、
 たぶんスロットマシンをやりに行った。二十分ほどすると、ことを終えた
 友だちが出てきた。そいつは何も言わなかった。トイレで発見された幼い
 女の子は、レイプされ、殺されていた。
 [略]
 数日後、そいつは逮捕された。友人の目撃者はインタヴュアーに、おれは
 何も悪いことをしていないと語っていた。自分にとってベストだと思った
 ことをしただけだと。その男は現在、一流のカレッジに通い、エンジニア
 リングを学んでいるという。
  「ろくでなしのウジ虫野郎が」おれは独り言のようにつぶやいた。
  「たいていの人は、彼がしたことをしてるのよ」ジェムが言った。
 [略]
  「たいていの人は、最悪のことが行われているのを目にするとき、
 たんに見ているだけ。あるいは、顔をそむけるか。何かすると、邪悪な
 ことが自分の身にも降りかかってくるんじゃないかと恐れてるから」>
(p245~246)
 
     (アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『グッド・パンジイ』
     ハヤカワ文庫 2003初 帯 J)

8月24日に続く~

 わたしもまた傍観する加害者だ。

 bitch・片山さつき・類を罵倒することは、ただのガス抜き作業でしかないと
分かっているけれど、でも、ひとつずつ、しつこく忘れずに書き記しておきたい。
 だって書いておかないと、日本会議派の連中は図に乗って、いくらでも野卑な
言動を上書きする。度重なる上書きによって、人々の感受性は徐々に麻痺して
何も考えようとしなくなる。
 奴らの思うつぼだ。

 生活保護の不正受給者叩きを煽った片山さつきが、またもや、貧乏人による
貧乏人叩きを煽動する。
 目に見えて、たとえばホームレスであることが明白な様子をしていなければ、
貧困ではない、というのか? 一応の身なりをしないで学校に行けば、石を投げる
生徒に取り囲まれるのが、今の貧困だ。
 わたしは件のNHKの番組を見ていないが、自分が貧困だと認識するなら、
なぜ貧困に追いやられているかを考えるのが先だろう。同じような環境にいる
"わたしたち"であり、そう仕向けるのは、片山さつき・類の"奴ら"ではないか。
 敵と仲間はシンプルに峻別されるはずだが。

 NHKはなぜ、片山さつきに釈明するのだろう、読解力がないと突っぱねないで。
 片山さつきは何故、舛添要一と離婚したのだろう? エゴの在りようが似すぎて、
ふたりきりでいると、鏡に囲まれたガマガエル状況になったからだろうか?





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# by byogakudo | 2016-08-23 21:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
2016年 08月 22日

webで『桜庭一樹読書日記』を読んでいる

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 昨夜からwebで『桜庭一樹読書日記』を読み続けている。
2006年3月付けから読み始めて、やっと2011年7月まで来た。
 読んで書いて、また読んで書く、の循環が、3・11でスムーズに
流れなくなり、それでも書き、読み、...。

 3・11以前の日記から引用__

< 今年から、短編の〈ミステリーズ!新人賞〉選考委員だったのだ。
 [略]
 壇の横にある選考委員の席に走っていったら、鮎川賞の選考委員、笠井潔、
 北村薫、島田荘司、山田正紀各先生が座っていて、見回すと、会場のあちこち
 にも作家の顔が!
  やはり、ミステリのお花畑みたいである。みんな写真と一緒だ……。興奮する
 ……。
 [略]
 帰り際にまた、誰かと、いや、全員と、大事な話をしていないという気がして、
 振りかえりたいような、いや振りかえってはいけないのだというような、
 なんともいえない気分に襲われた。
  あの人に聞きたいことがなかったか? この人とわかちあうべきなにかが
 なかったか? 本にかかわって生きる、あの人たちと……?
 [略]
 いままで、その[注:小説の]豊穣さを崇めるような気持ちで、一冊、一冊、
 読んできたけれど、いざ評しようと思ったら、それをコロッと忘れて「上から
 えらそうに小説を見下ろす」気がして、とても怖い。
 [略]
  読むことはずっと祈ることだった。
  評することもそうだろうか?
  弱いから、とても危ない。だけど、きっと信仰心が、そして本を読む仲間
 たちの、鈍く光り続けるあの恐ろしい目が、自分を堕落から守ってくれるのだ
 と思った。>
(またまた桜庭一樹読書日記 【第4回】(2/3)[2010年11月])

 3・11以降の記録は、またまた桜庭一樹読書日記 【第9回】(1/5)
[2011年4月]
から記される。

 過去の日記は格納(?)されているので、接続に時間がかかる。
うちのパソコンだと1分以上、90秒くらい待つ。その間、文庫本の
伊藤整『近代日本の発想の諸形式 他四篇』を読む。

     (東京創元社のウェブマガジン Web ミステリーズ!)

8月25日に続く~


 ようやっと、TVをつけても「ニッポン茶茶茶!」と叫び狂う声が
聞こえなくなると思ったら、まだ閉会式とかいうのが残っていた。
 ニュース番組で安倍晋三がアニメ・キャラに扮して登場する場面を
見る。TVスタジオの連中が好意的な感想を述べる。おべっか遣いども。
 台風の大雨が残る中、届いた夕刊には、五輪旗を捧げる、白い着物の
bitch・小池百合子の写真が第一面に。
 S曰く、「リオから靖国へ、か」。喪服の色は、日本でもかつては白。





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# by byogakudo | 2016-08-22 17:46 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
2016年 08月 21日

フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一 訳『犯罪』読了

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 近所の何もないBO、108円棚にあった。
『序』の第一行、
< ジム・ジャームッシュがいっています。「映画を撮るなら、
 中国の皇帝よりも犬と散歩する男の方がいい」私も同感です。>
(p11)
に惹かれて買った。

 扉には、著者は刑事事件専門の弁護士、とある。各短篇の語者は
弁護士である。
 じゃアンドリュー・ヴァクスみたい? いや、この短篇集には
ミステリ風味もあるが、むしろ犯罪と人生が交錯するときの
スケッチ集だろう。

 トルコ系やギリシア系ドイツ人で、結局、犯罪に手を出して
しまう男たちの物語のひとつ、『タナタ氏の茶盌』の暴力描写
なぞ、ヴァクス顔負けの面もある。大都会での犯罪現場は、
どこでも似たり寄ったりなのかもしれないが。

< ガロテというのは細い針金で、両端に小さな木製の握りがついて
 いる。中世の拷問・処刑具を改良したもので、スペインでは一九七三
 年まで絞首刑具として使用されていた。そして今でも殺人の道具と
 して愛用されている。部品はどこのホームセンターでも入手できる。
 安価で、持ち運びが楽で、効果的だ。背後からこの針金を首にまわし、
 力いっぱい引き締めれば、声はだせないし、すぐに絶命する。>
(p47~48)
__こういう短い段落と、もう少し長めの(それでも1ページくらい)
段落との間を一行ずつ空けて、映画のカットみたように書かれていく。
行あけ以外に、縦長のクロスを入れたカット割り(?)もある。

 11の短篇のほとんどにリンゴが出てくる。『恐るべき子どもたち』を
思い出させる姉と弟の物語『チェロ』のように、スクーターの前輪が
リンゴに乗っかって、悲惨な事故を起こす場合もあれば、たんに画面
の点景みたような使われ方もある。まあ、楽園から追放されて地上に
在ることのシンボルだろう。

 明るい犯罪は実際にはありえないが、悲喜劇をドライに描くことは
できる。『タナタ氏の茶盌』の補遺の会話のピントのずれようなぞ、
たしかに、『序』に引用されたジャームッシュに近いセンスだ。

 読み終わったあとで、ジャケット・裏袖の著者経歴を見た。
(買ってすぐにグラシン紙で覆っていたので)よく読めないが、
おじいさんがナチの高官?! 「なんとね」(マット・スカダー式に)。

 あとで気づいてよかった。知って読むのと知らずに読むのとでは、
たぶん多少は読後感に影響したのではないかしら。バルドゥール・
フォン・シーラッハのwikiをせっせと読んだわたし自身を省みると、
作家と作品とを截然と読み分け得ただろうか、と思う。

     (フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一 訳『犯罪』
     創元推理文庫 2015初 J)

 さあ、アンドリュー・ヴァクス『グッド・パンジイ』に行こうか、
どうしようか。





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# by byogakudo | 2016-08-21 20:24 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)