2024年 03月 17日
昨日のTBS「報道特集」は安楽死についてだった。 スイスでの安楽死を望んで果たしたフランス人男性(40歳 だが脊髄損傷で動けず、激痛に襲われる毎日)、レマン湖に 遺灰を撒いてもらう手続きまで自力でやり通して安楽死を 選んだ独身の日本人女性(「人に甘えるのが下手なの」と いう自己認識が寂しかった)、もう少し生きてみると思い 直した日本人女性...。 あまりの耐え難い苦痛(精神的・肉体的、どちらも)から 逃れるための安楽死という選択肢は、人権について考えたら やはり出てくる問題だ。生きる権利の果てに在る死ぬ権利を 否定することはできないと思うが、番組の最後に登場した ALS患者の男性(彼は目で文字盤を追って意思表示するが、 筋力が衰えてきているので、いずれこの方法もできなくなる) は、辛いけれども安楽死を肯定しない。 彼に励まされた同じ病気の女性患者は以前は、もし日本に 安楽死が可能になる制度があったら、 <「安楽に死ねる制度があるのに、あえて使わなかったのだから、 『使わなかったあなたは苦労して生きることを受け入れなさいよ』 と思われてしまいそう」>と考えていた。 わたしもそう思う。もし日本に安楽死制度ができたら、形式的 には自らの意思で安楽死を望んでいるように見せる/見えるが、 事実は周囲の有形無形の圧力で死に追いやられるケースがほとんど になるだろう。だから今の日本の状況が続く限り、安楽死制度の 導入には賛成できない。 自殺は自由意志の最終形態だから、論理的には安楽死を肯定するが、 こんなに同調圧力が漲り、自殺が結局、他殺の一形態みたいな現今の 日本国でこの制度を作ったら、いわば気狂いに刃物状態を公認する ことになる。 個人の存在とか人権とか言ったところで、なんの話?、になるのかも しれないが。 (また、安楽死を行う医師にかかる精神的負担も考えるべき問題 だ。スイスの施設の医師は女性だが、男性医師では心が保たなくなり そうだ。女性医師は医師でありながら患者に生ではなく死を与える 苦痛を感じながら、もし自分がやめたら、長い苦しみに疲れ果てた 人々がもっと苦しむから続けているのだろうが。) 旧Twitter以来、現在のXに至っても相変わらずSNSは公共痰壺、 憂さ晴らしの掃き溜めである様子を目にすると、人権意識(わたし があなたでないこと、あなたもわたしでないことを互いに認め合う こと)をどうやってここに存在させられるだろう? Stop the Gaza Genocide 開けると自民党サイトの彼・彼女の紹介になる。 ..... Ads by Yahoo! ........ #
by byogakudo
| 2024-03-17 23:31
| 雑録
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2024年 03月 16日
写真は大川端の傘。明治時代だったら蝙蝠傘、江戸期だったら 油紙の傘だが、むかしは再利用が盛んだろうから傘が捨てられたり はしないのか? 後半は、ラチダ・トリキ『チュニジアのフーコー』から 始まる。 フーコーは、1966年9月から1968年夏までチュニジアに 滞在していた。'68年9月と'71年5月にもチュニス訪問。この 本の元になった講演は、1971年5月20日に行われた。 フーコーも読んでないので、この項はほぼ飛ばし読みして、 かつて鈴木創士氏が京都の美大で美術史を教えていらしたこと を思い出す。 いちど、Sと二人で知らんぷりして教室へ顔を出し、驚かせ ようなどと思っていたが、うかうかしているうちにその講義は 終わってしまった。 どんな講義だったのか? 誰も講義を録音したりしなかった のかしら? (ミシェル・フーコー/阿部崇 訳『マネの絵画』 ちくま学芸文庫 2019初 帯 J) Stop the Gaza Genocide 開けると自民党サイトの彼・彼女の紹介になる。 ..... Ads by Yahoo! ........ #
by byogakudo
| 2024-03-16 21:34
| 読書ノート
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2024年 03月 14日
写真は梅里公園で。晴れるのはいいけれど花粉が飛ぶ。戻る なり顔を洗わないと、目が痒くてたまらない。ピークはあと 1週間くらいかもしれないが、その後も花粉症予防薬セット が手放せない。春はいやな季節だ。 メタフィクションが小説による小説批評だとするならば、 アントニイ・バークリーのミステリはメタミステリと呼ぶ べきかしら? 推理する叙述がメインのミステリが本格派 というなら、アントニイ・バークリー版は本格ミステリで ありつつ、それを揶揄う態度に終始する。 主人公、ロジャー・シェリンガムは、犯罪を推理するのが 趣味の小説家だ。よくスコットランドヤードに顔を出しては 何か事件はないかと、情報収集に余念がない。警察のほうでも 今までに役立ったことがあるから邪慳にしない。現場に同行 させるし、容疑者や関係者たちへの聞き込みも自由にさせる。 データを収集して事件の実像を組み立てていく。その際、 警察が見落としていた箇所も細かく拾い上げ、手落ちはない。 それなのになぜ、結末において、名探偵が迷探偵になって しまう!? そこらがメタ本格ミステリといえば、そうなるのか。 被害者の姪でありながら伯母の死に無反応、秘書にならないか と誘われれば即日やってきて、シェリンガムに仕事をさせようと お尻を叩くステラ・バーネット嬢のあっぱれさは、二度読んでも 感動的だ(覚えてなかったのに...)。なんとなく彼女に頭があがら ないシェリンガム氏との会話がすばらしすぎて、メタ本格ミステリ だか何だか、どうでもよくなるのです。 (アントニイ・バークリー/藤村裕美 訳『最上階の殺人』 創元推理文庫 2024初 帯 J) (2)アントニイ・バークリー/藤村裕美 訳『最上階の殺人』 Stop the Gaza Genocide
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by byogakudo
| 2024-03-14 23:05
| 読書ノート
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2024年 03月 12日
フーコー『マネの絵画』を中断して、こちらを読んでいるが、 予想通り、もう終わりかけているのに何ひとつ覚えていない。 強いていえば、ごく最初の方、集合住宅で起きた殺人事件の 紹介場面で、 <階段の下のスペースにある物置だった。警部が扉を開けると、 なかにはほうきやバケツやブラシなど、よくある掃除道具が 収められていた。>(p29) ___と記される、この物置である。映画でも小説でも、物語全体 の流れではなく、ひとつのシーンだけ切り離されて頭に残る質で、 ここを読んだときだけ既視感があったが、あとはまるで jamais vu 。 この物置は小さな赤い鰊のひと切なのか? 前に読んだとき抱腹絶倒したらしい、ステラ・バーネット嬢 との会話も、何ひとつ覚えがない。彼女が元・演劇少女だった 能力を発揮する場面(コックニー訛りを響かせて高級洋装店に 乗り込む場面)もなにもかも。 集合住宅の住人たちに聞き込みに行って分かった、遊び女風の 女性がじつはロマンス小説作家だったシーンなども、覚えていて よさそうなものだが、歳月の彼方に沈澱している。 1シーンというか1カットというのか、大昔ブログに書いたような 気がする、ある場面___ 探偵事務所(?)に雇われている中年女性が調査を終えて、主人公 の探偵たち(?)が待つバーに現れるや否や、 「ウィスキー、トリプルで」と注文する。 驚いたバーマンが、 「あのぅ、ダブルですか?」と聞き直すと、彼女は携えていた杖か 傘でドンと床を突いて、 「トリプル(と言ったでしょう)」と促す。 ___この場面だけずっと頭に残り、これがなんというミステリの中の シーンなのか、前後も左右もまったく不明のまま数十年が経つ。 いかにもわたしが好きそうな場面だが、まさか自分で作り出した シーンとは思えず、たぶんなんらかの小説中に実在した場面と信じて いるが、これだけで作品名を探し出すのは無理だろう。 でも、もしこの情報だけで、何という作家の何という作品(ジャンル としてはミステリだったと思う)かご存知の方がいらしたら、教えて ください。ときどき思い出しては頭をひねっています。 (アントニイ・バークリー/藤村裕美 訳『最上階の殺人 創元推理文庫 2024初 帯 J) Stop the Gaza Genocide 開けると自民党サイトの彼・彼女の紹介になる。 ..... Ads by Yahoo! ........ #
by byogakudo
| 2024-03-12 21:02
| 読書ノート
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2024年 03月 10日
写真は昨日の東で。Sによれば、「ときどき出くわす実相寺昭雄・ 風景」(裏側から見たフィリップ・スタルク)。これこそ、部分発想 から成る/しか存在しない、東京らしい東京の風景。 平日が雨や曇りで寒く、週末に晴れてしまうと困る。街や 地下鉄の混雑が倍増するじゃないか。それでも引きこもって 部屋で坐りっぱなしして腰を痛めるより、外を歩いて疲れる ほうが腰へのダメージが少ないので出かける。 日本の人口は減少しているのに、都内への流入は増える。 それに加えて、世界中から来てるように感じられる外国人 観光客の増加。週末はどこに行ってもヒトだらけだ。 3月9日(土)は14時10分、蔵前。厩橋を渡って吾妻橋のほう をうろつく。吾妻橋1-9の角の近代建築。赤茶色の塗装が剥げ かかって、うつくしい。 源森橋~小梅橋間の水路脇の建物と大きなパイプ。"雨水渠 排水管"と書いてある。こちら側は日陰なので誰も歩かない。 反対側の日向は、どこかへ向かっているであろう人々の流れ (でもなんで、あんな貧相な"スカイツリー"塔にカメラや携帯 電話を向けるのだろう?)。 向島1-31、東亜鏡工業のガラス屑入れドラム缶がよかった (町工場のゴミ捨て用ドラム缶は、どこでもわくわくする)。 今日は高円寺のほうへ。カトリック高円寺教会に猫がいない。 どこへ行ってるのか? 愛用している瓶入りユースキン・ハンドクリームが近所の薬店 に見当たらない。ポンプ式ばかり置いてある。もしかして、また ジンクス発動して、これも廃番になろうとしている? web検索 したらこのチェーン店では置いてあるようなので見に行くと、 あった。廃盤かと聞くと違うという答え。よかった。 でもわたしやSが好む商品は、ほんとに消えやすい。別に特殊な 好みではなく、ごくありふれた製品なのに、ある日消える。日常 が消される。 ハチマクラに行って雑貨愛を満たした。 Stop the Gaza Genocide 開けると自民党サイトの彼・彼女の紹介になる。 ..... Ads by Yahoo! ........ #
by byogakudo
| 2024-03-10 21:27
| 雑録
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