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2009年 11月 22日
![]() click to enlarge. また連休だ。ひと月に何回、連休すれば気がすむのだろう、と 言いたくなるほど連休が多い。古本屋も週休二日制に移行するべきか。 連休で困るのは、まず、ひとがますます来なくなる。長い連休で あればあるほど、ひとは古本屋以外のどこかに出かける。 そして、通信販売の注文が入っても、近所の小さい郵便局は閉まって いるので、連休の合間に中野駅近くの郵便局まで、一時間に一本の バスを頼りに出向くことになる。お客さまも、連休だと解って注文 されているかもしれないが、せっかちなので(基本的にはのんびり型) お待たせしているという意識に耐えられなくなり、バスに飛び乗り、 たぶん同じ運転手の、中野駅始発バスで戻ってくる。 帰りのバスに少し時間があったので、五叉路に面した「中野光座」 角まで行く。来春にここは壊される。山崎哲の「東京物語」公演中の 看板が、階段下に立ててある。墨汁で書かれた文字だけの地味な 立て看板だが、妙にふさわしい。こういう風景をそっとそのままに しておけないものか、と思う。すがれて寂しくって、きれいじゃないか。 2009年 11月 21日
![]() click to enlarge. 今週の新着欄です。よろしく。 新着欄 中学の友だちが時々本を送ってくれる。出て間もないミステリが多い。 一度読んだきりとはいえ、まるで新刊そのもの、ピンとした状態なのは、 彼が歯医者さんであるのと関係してるのだろうか。 お師匠さんもきれいな読み方をされるが、彼も驚かれるきれいさだ。 (古本屋の手指は悲しいほど汚れやすい。) そんな本の中から、Sがたまたまウェストレイクを読んだ。軽やかさが 気に入り、新刊書店でも探して読んでいるのを、わたしが後を継いで 読んでいる。 こちらは「現代短篇の名手たち3」とサブタイトルされた短篇集である。 巧い。 「ドートマンダーのワークアウト」という短篇では、ドートマンダーが バーでのワークアウト談義の最中に、バーテンダーにお酒を頼もうとするが、 注意を引けない。やっと気づいてもらい、 「いつもの人参ジュース」と言ってバーボンを頼むという、健康ブームを 軽く揶揄したオチである。真正面からワークアウト話を書かない、 肩すかしの技巧がいい。 (ハヤカワ・ミステリ文庫 09初 帯 J) 自費出版の「愛犬物語」(岡山宅子 精興社エクセレントブックス 09年) も読了。動物ものにあまり興味がないが、警察犬の老後を引き受けた著者と 老犬との交流が、素直に伝わってきて後味が良かった。 2009年 11月 20日
![]() 神保町古書会館の帰り、恵比寿に廻る。ギャラリーMalleで 開催中の(22日・日曜日まで)廣瀬久也氏の写真展に行く。 鉄板の上や、鉄の楔とともに置かれた繊細なレースの写真である。 写真は印画紙ではなく、アルシュ水彩紙や、栖鳳紙という和紙に プリントされている。 写真面よりやや小さいパネルに写真が貼られ、壁面から浮いた 感じで展示される。アルシュ紙の不揃いな裁断面(耳)が面白い。 カラーがほとんどだが、1点だけモノクロームがある。ちょっと メイプルソープを思い出す写真だ。 白い薔薇が三輪、それを下から支え持ち上げるように白いレースが 置かれている。天使が翼を広げて三位一体の薔薇に仕えているかに 見える。 これもアルシュ紙の印刷、パネルの下貼り、黒縁の額入り。ボックス・ オブジェみたいな作りだ。 カラー写真は額抜きで、ダイレクトに見せているが、このモノクロームは ガラスの函内に閉じ込められるべき作品だろう。より象徴性が強まる。 2009年 11月 19日
![]() click to enlarge. 近頃あまり流行らないけれど、オムニバス映画というものがあった。 大抵、短い3篇で構成され、1作のみ面白く、他は見劣りするのが 通例だった。「世にも怪奇な物語」を例にとれば、フェリーニ以外は どうも素敵とは言いがたい。 昨夜、「赤襯衣物語・他2篇」(改造社 世界大衆文學全集 第四十八巻 30初 裸本)を読み終える。(やっと「しゃつ」の 漢字が見つかった。) オムニバス映画の法則とも違って、3篇いずれも退屈という すごさだ。むかしの探偵小説や冒険小説のテンポだから、それを 古雅と受取るか、稚拙と了解するか、であるが、今のミステリの 技術的進歩を確認したくて(口直ししたくて)、ウェストレイクの 短篇集に手を出してしまうようなことになる。さすがに巧く書かれて いる。 「ピムリコの博士」なぞ、予想が外れたが、ユダヤ陰謀説のラインで 書けば、もうちょっと動きのあるストーリーになったのじゃないかしら。 誰にもお勧めしないけれど、探偵小説の技巧的進歩のプロセスが 見たい方なら、どうぞ。 (ゴオロー「赤襯衣物語」 ウィリアム・ルキュウ「ピムリコの博士」 ヘルマン・ランドン「緑の扉」所収) 2009年 11月 18日
![]() click to enlarge. 名曲・名演集。 Barbara - Ma plus belle histoire d'amour Brigitte Fontaine - Le beau cancer (動画じゃないのが残念。) 2009年 11月 17日
![]() click to enlarge. 「赤しゃつ物語他二篇」(改造社 世界大衆文学全集第四十八巻 30初 裸本)の第一篇「赤しゃつ物語」を読み終え、次の 「ピムリコの博士」途中。 「赤しゃつ物語」は副題に「佛蘭西大革命餘譚」とあるが、 まさにその通りで、主人公がちっとも活躍しない物語である。 マリー・アントワネットの脱獄には失敗、仲間が捕えられても、 救出に間に合わない。活動する割には無力の人だが、はしがきに 依れば <「忠臣蔵」がいつの時代にも民衆に喜ばれ>るようなもので あろうということで、しかし、「忠臣蔵」の良さがわからない奴は どうすればいいのだろう? 「サンキュロット」のルビが「無褌黨員」に当てられていた。 「無袴黨員」は見たことがある(と思う)けれど、これは初めて。 「ピムリコの博士」は陰謀が進行しているらしいが、どんな 陰謀やら、いまだ不明。なんとなく、ユダヤ陰謀説なのでは ないか、という気がする。 2009年 11月 16日
![]() click to enlarge. ついでにフレドリック・ブラウンのミステリ「霧の壁」にも 手をつけ、横になる前に読了。 祖母の遺体を発見したショックで記憶喪失者になった男が、主人公。 どう見ても行きずりの犯行ではない。限られた関係者内の殺人だろう。 彼はもしや自分が祖母を殺したのではないか、そのせいで記憶がない のではないかと怯える。 またしても、封筒にノートする箇所を発見。 < アーチ(注 主人公の兄)はアドレスをおしえてくれた。ぼくは、 きいたこともない男子用品店からのシャツ代の請求書がはいって いた封筒の裏に、それをかきとめた。>(p56) (田中小実昌 訳 創元推理文庫 76年12版 J) もの好きだと自分でも思うけれど、「赤しゃつ物語他二篇」 (改造社 世界大衆文学全集第四十八巻 30初 裸本)を読み出す。 「しゃつ」は漢字が出ないので平仮名にしたが、「紅はこべ」と 同じく、フランス革命時を舞台にした冒険小説のようだ。 2009年 11月 15日
![]() click to enlarge. 今日こそ片をつけようと部屋に戻るやすぐに読み出し、寝る前に 読み終える。感想は,昨日書いた通りか。一気に読むべき本は さっさと読むことである。 (ドナルド・E・ウェストレイク ハヤカワ文庫 06初 帯 J) すでに少し読み始めていた「天の光はすべて星」(フレドリック・ ブラウン ハヤカワ文庫 08初 J)も余勢を駆って、こちらは寝床で 読み終える。 手に入れられないものへの、狂おしくひたすらな憧れが、よく 伝わってくる。この想いをなくしてしまえば、生きることはなんて 退屈な地獄になるだろう。 1953年の作品だから仕方ないが、ヒロインの情熱の対象が 結婚相手が変るとともに変化する、というキャラクター設定は、 今なら抗議の的になりそうだ。 もっとも近頃では、つき合う女の子の趣味に合わせて、好みも 変える男が多くなった、そうであるが。 2009年 11月 14日
![]() click to enlarge. まず、今週の新着欄です、よろしく。 新着欄 他の本の合間合間に、少しずつ読んでいる「バッド・ニュース」 (ドナルド・E・ウェストレイク ハヤカワ文庫 06初 帯 J)。こんな 読み方をするものだから、あまり楽しめていない。 いやみにならない、ほどのよい軽妙な文体(であろうと、翻訳から 想像している)だから、もっと好んでよさそうなものを。 長編をぶつ切りに読んでるのが、いけなかった。読み出したら 没頭してそのまま読み終えるべきを、不運なウェストレイクである。 (初めて読む。) このまま映画になりそうな巧さが、すんなり入れない原因だろうか。 2009年 11月 13日
![]() click to enlarge. お師匠さんが「どうもな」と言いながら貸してくださった。後に 「感心しないぜ」という台詞が続くのだろう。 1969年にアメリカのあるハイスクールで実際に起きたできごとをもとに 小説化したそうだが、ミイラ採りがミイラになる、生兵法は大けがの元、 といった類いの諺が思い浮かぶ話である。 歴史の授業でナチの大量虐殺フィルムを生徒に見せたところ、 「そんなひどいことが起きてたのに、見て見ぬふりをしてたなんて、 信じられない!」という反応だった。 そこで歴史教師がクラスを使って実験してみた。規律と共同体帰属意識 とを刺激する「ザ・ウェーブ」運動を指揮してみたら、子どもたちの熱狂する こと甚だしい。遂には仲間に加わらない生徒を排撃するような、ファシズム 状態を引き起こし、教師はあわてて、彼らの憑物を落とさなければならなく なったとさ、というお話だ。 なんというか、ふくらみのない話で、小説ではなくシノプシスみたいだ。 漫画っぽいイラストレーションのJ挿画にも怯まず、読んでないから読んで みようと好奇心を働かせる、お師匠さんの若さがすごい。 (新樹社 09初 帯 J) |
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