2009年 05月 02日

エルネスト・サバト「トンネル」読了

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 写真は無縁坂の曲り角。

 今週の新着欄です、よろしく。ペンローズ年鑑は、ヤケにシミに切取り頁も
ありますが、紙質や印字の綺麗さ、印刷物としてのうつくしさが素敵です。
 新着欄

 昨夜、エルネスト・サバト「トンネル」(国書刊行会 ラテンアメリカ文学
叢書第6巻 77初 函 帯)読了。実存主義的な絵描きが、女の愛のかたちを
信じきれず、彼女を殺すに至った過程を、延々と陰々滅々と語る、暗い物語。
 でも後味がいい。

 今の若い読者には、主人公の悩み方に共感できるかどうか、わからないけれど、
身におぼえのある苦痛だ。ひとが社会的存在として振舞わざるを得ない状況に
対する苛立ちとか、今のわたしは必要条件として受け入れている、社交的虚偽で
あるが、思い起こせば、昔はそれが苦痛だった。

 今のタッチでこの物語を書くと、望月峯太郎の漫画「バタアシ金魚」になる
のじゃないかしら。盲目の愛、という点で。
 近頃の斜めの軽いタッチで状況を切り取る小説類に飽きた方に、お薦め。
かなり暗い気持になれる。
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by byogakudo | 2009-05-02 15:25 | 読書ノート | Comments(0)


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