猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2009年 05月 06日

トマス・M・ディッシュ「ビジネスマン」読了

e0030187_15374157.jpg









click to enlarge.

~5月5日より続く

 夜遅くまで読んでいたので、寝不足気味だ。面白かったから、つい
最後まで読んでしまったのだが、読み終わると、ふと、しかしこれは
何が書きたかったのかと、不思議な気分になる本でもある。

 天国に行く手前の霊界にある魂と、人間界との接触から起きる
スラップスティックな騒動を描いたと、一応は言えるけれど、
それだけではすまない、或いはもっと過剰な何かでもあるような
気がしてきて(過小な何かだったりして?)、落ちつかない。

 殺された妻は、幽霊なのに、殺人者である夫の子どもを身ごもって
いる。霊界での帝王切開で生まれた、人間と幽霊とのハイブリッド・
チャイルドは、邪悪の化身・殺人狂である。人間や動物に取り憑き、
その存在を乗っ取り、殺戮行為に向かわせる。この辺り、作者も、
スプラッタホラーを愉しんでいるかのようなタッチである。

 殺された妻は、人間の意識を持ち続けることに疲れ、柳の精の
状態に退行しようとする。彼女を愛する、自殺したアル中詩人は
蛙に姿を変え、一緒に"Row row row your boat..."と輪唱して、
彼女に人間としての意識を保たせようとするシーンがうつくしい。

      (創元推理文庫 90初 帯)
[PR]

by byogakudo | 2009-05-06 15:45 | 読書ノート | Comments(0)


<< 5月13日(水)、臨時休業いたします      トマス・M・ディッシュ「ビジネ... >>