2009年 05月 08日

パトリック・クェンティン「二人の妻をもつ男」読了

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 Ce n'est pas Chibi-Tom.

 もし主人公が再婚を決意するエピソードが描かれていたら、納得して
読み続けられる筈だと、気がつき、書かれてあったことにして(!)
再開読了したが、「市民ケーン」の帝国に紛れ込み、翻弄される
小振りなスコットとゼルダの物語、という乱暴な要約は、いかが?

 男らしさの一大特色・煮え切らなさがよく描かれていて、優柔不断が
事件を錯綜させていく過程が巧い。
 女は思考しないから、ごちゃごちゃ自己懲罰的に考え込まず、さっさと
昔の恋人は過去のファイルに入れ込んで、なかったも同然のことにして
しまうのであるが。

 しかし、普通小説(?)なら男のしゃっきりしない思考態度を描くだけで
いいけれど、サスペンス・ミステリとしては、早く事件に話を持って行か
ねばならず、わたしが仮定したエピソードを入れ込む箇所は、ない。

 偶然、再会してしまった元妻との過去を、今の妻と同じベッドに横たわり
ながら回想する、という罪深いシーンのどこに、再婚へと踏み切る挿話を
入れられるだろう。コントラストが台無しである。仕方ないか。
     (創元推理文庫 64年3版)

 ノエル・カレフ「死刑台のエレベーター」とガードナー「ビロードの爪」を
併読中。食べ合わせの悪そうな2冊だけれど、カレフが退屈だったらと用心
した結果だ。 
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by byogakudo | 2009-05-08 14:49 | 読書ノート | Comments(0)


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