2009年 05月 25日

ジェイコブズ他「イギリス怪奇傑作集」読了/「旅に拾った話」もう少々

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 「イギリス怪奇傑作集」(ジェイコブズ他 福武文庫 91初)では、
何といってもアルフレッド・エドガー・コパード「ハンサムな
レディ」とアンガス・ウィルソン「ラズベリージャム」が素敵だった。

 前者の、19世紀末イギリス・田園地帯に残るケルトの面影。
おもちゃのように小さな森で、村のトリスタンと街から来たイズゥは
妖精の話をする。
 < 彼女は棒切れを拾って地面に四角や星の図を描いていた。>
(p52)__彼女は魔女だったのだろうか。

 教会の敷地内にいつもいる山羊たちの話が、トリスタンの死後、
墓掘り人によって再度詳しく語られる。
<「[略]ある日、山羊が婆さんについて教会の中に入ってきて、
 [略]ついに説教壇のところへ行って前足を聖書に乗せて『メー』
 と鳴きやがった。婆さんは少し怖かったけれど、山羊の信心に
 うたれて伴奏にオルガンを弾いてやったんだそうだ!」>(p66)

 どんな細部も読み落とせない、完璧な短篇だった。

 後者は、カポーティ「クリスマスの思い出」みたような、少年と
老女たちの間に生まれる共感の話。多少狂っていようが、聖女は
聖女である。
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by byogakudo | 2009-05-25 15:07 | 読書ノート | Comments(0)


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