2009年 05月 28日

渡辺啓助「海底結婚式」読了

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 夕べはずっと、「海底結婚式」(渡辺啓助 桃源社 書下し推理小説全集
第12巻 60初 函)を読んでいた。進駐軍もそろそろいなくなり、高度経済
成長期も始まるころの風俗小説として楽しんだ。

 代々木の英語学校に通う20歳の女性が、同じ学校に通う4人のオンリー
さんの英文ラヴレター代筆を、アルバイトでやっている。4人のうちの一人が
自殺する。間もなく、もう一人も自殺したと見なされるが、ヒロインは他殺で
あることを知っている。

 彼女が素人探偵として活躍する様子が描かれるのだが、教会経営の英語
学校の人々__暢気なオンリーさんや諦め気味の受験生がいるかと思えば、
奨学金を得てアメリカ留学しようとする優等生、癖のある教師等__戦後
風俗が面白い。

 スキューバダイヴィングは70年代から流行ったと思っていたが、もう
この頃から、米軍の影響で日本人もやり始めていたようだ。タイトルは、
オンリーさんと黒人兵の結婚式が海底で行われることに因む。

 70年代初め、渋谷・百軒店の上がり端、右側に「英文手紙代筆」とか
書かれた細長い掲示を見たことがある。「『恋文横町』の名残か」と思った。
 まだパルコも109もできる前で、渋谷は戦後の空気を引きずったまま、
なんとなく寂しい町だった。今よりずっと我慢できる町だ。東京が残って
いた頃である。
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by byogakudo | 2009-05-28 15:17 | 読書ノート | Comments(0)


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