2009年 07月 07日
click to enlarge. 「映画化記念 私は猫ストーカーフェア」 神保町・三省堂本店4F 6月26日(金)〜7月25日(土) 昨日は失礼しました。 フランス・ミステリはどうもミステリの概念からして違っている ようで、英米のミステリを基準に読むと、こんなにいい加減な捜査で 事件が解決するのかとか、いろいろ不満が出てくる。 危ぶみながら読み出したドミニック・ファーブル「美しい野獣」 (HPB 71再)だが、ミステリではなくフランス心理小説の伝統に 則った作品と了解すれば納得できる。 女を心理的に追いつめ、自殺にまで追いやることに快楽を見いだす しょうもない男が主人公だ。ハンサムで無為徒食が可能な大金持ち だから、獲物を見つけて追いつめることが彼の生き甲斐になっている。 最初の妻の自殺に味をしめ、次に狙ったのが婚約者のいるイギリス女。 誘惑して婚約破棄させ、彼女と結婚するが、彼の追いつめ方というのが、 「白い結婚」を強制することである。ジッドを読んだことがないのに、 なんでわたしはこの言葉を知ってるのだろう? それはともかく、ゲイの美青年を同居させてみたり、いやがらせの限りを 尽くして彼女を自殺に追い込もうとするプロセスが、じっくり丁寧に描かれる。 と要約すると退屈そうと思われるだろうが、筆力があるので愉しく読んだ。 読み終わってもしかして?と思い、web検索するとやっぱりヘルムート・ バーガー/ヴィルナ・リージ主演の「雨のエトランゼ」の原作だった。これ又 見ていないが。 マゾヒスティックなサディスト、「宿命の男」である。(マリオ・プラーツ 「肉体と死と悪魔」で憶えた。)あの頃のヘルムート・バーガーにぴったりの 役柄だ。ヴィデオかDVDは出ているかしら。 昨日か一昨日からヴィッキー・バウム「上海ホテル」(改造社 39初)。 昔からちょっと気になっていた作家だが、「グランドホテル」ではなく、 装釘とタイトルが素敵なので、こちらを読み始める。退屈しながら それでも読んでいる。
by byogakudo
| 2009-07-07 12:55
| 読書ノート
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