猫額洞の日々

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2009年 07月 22日

ジョン・ウィンダム「トリフィド時代」読了 

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「映画化記念 私は猫ストーカーフェア」 神保町・三省堂本店4F
 6月26日(金)〜7月27日(月)
 

 昨夜、ジョン・ウィンダム「トリフィド時代」(井上勇訳 創元推理文庫
66年5版)読了。

 第一章の終りにドレやモントゴメリ将軍についての脚注があり、末尾に
< なお、注はすべて訳者の恣意。>とある。
 第七章の最初の脚注は、
< 八月五日は広島のピカドンの日。>__ピカドン...。
 奥付の<訳者紹介>に<1901年広島県に生まる。>と記されている
のを見て、それならばと、了解する。わたしには使えない言葉だ。

 主人公とヒロインとが、文明に別れを告げる宵の場面がうつくしい。
 心ならずも盲人たちを見捨て、略奪行為に手を染め、ふたりともドレス
アップして、文明人として最後の社交的な会話や振舞いを交換することで
ひそかに、人類が築き上げた文明への別れを告げる。

 従容として死を迎えるのではなく、従容として野蛮状態へと向かう道を
選ぶシーンが哀しくせつない。イギリス的落着き、英国的良識というべきで
あろうか、一時の激情に駆られてヒロイックに行動するよりも、立て直しを
図る地道さを、彼らは選ぶ。
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by byogakudo | 2009-07-22 13:04 | 読書ノート | Comments(0)


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