2009年 08月 10日

木村荘八「新編 東京繁昌記」再読中

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 今和次郎は復権しているのに、なぜ木村荘八は(安藤鶴夫も
含めようか)若いひとに認識されないんだろう。

 他店では売れているかもしれないが、当店で木村荘八の本を
棚から出してみる、若いお客さまを見かけた試しがない。
 年配の方には今さらだろうが、木村荘八も安藤鶴夫も、東京を
味わうための、よいヒントを与えてくれる本だと思うのだが。

 今和次郎は、「モダーン都市東京」という括りで認識評価されて
いるのだろうが、その前後も知ったら、もっと楽しめるのにと、
老婆心する。

 木村荘八の文章の、しゃべり口調(一文の途中に注釈を入れて
話題が続く)が、読んでいてめんどくさく感じられるのか、とも思い、
いや、それよりも何よりも、若いひとに名前が知られていないという
単純な理由ではないかと考え直す。
 知らないものは存在しない。

 安藤鶴夫は、好き嫌いがあるだろうが、ラフカディオ・ハーン
みたいじゃないか。つまりハーンが、周りには出世主義に燃えて
英語を学ぼうとする連中もごまんといただろうに、それは無視して、
消えてゆこうとする小さなひとびとにだけ視線を向け、まるで妖精の
国みたような古い日本を書き記す態度(植民地主義と批判される面も
あるかもしれない)と、安藤鶴夫の、自分の好きなひとびとや行為だけ
頑として記す態度とは、同じじゃないかと、言いたい。
 見たいものしか見ない点では、吉田健一だって、そうだけれど。
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by byogakudo | 2009-08-10 13:07 | 読書ノート | Comments(0)


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