2009年 08月 24日

内田百間「芥川龍之介雑記帖」読了

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 写真は、月島の路地。

 9月5日(土)、6日(日)古書 往来座 外市 /雨天決行に、
伊呂波文庫さんとともに当店も参加いたします。

 内田百間は正仮名遣い・正漢字版で読めばよかったのだろうか。
手軽だからと、いつも文庫本で読んでは、いいんだけど、すんなり
大好きと言えない何かがあったが、正仮名遣い・正漢字の河出文庫版
「芥川龍之介雑記帖」(86初 J)は、すっきり読めた。

 横須賀の海軍機関学校に、週に一度教えに行っていたときのことだが、
朝七時の東京駅発の汽車に乗るため、六時頃に高田老松町の家から
俥(人力車)で出かける。

<[略]冬の日の短かい時分には、往来がまだ真暗である。俥の提燈の
  薄赤い灯りを、幌のセルロイドを張つた窓から眺めてゐるのが侘しく、
  その内に考へて、真書(しんかき)の筆の軸よりも細い仰願寺(かうぐわんじ)
  蠟燭(らうそく)を俥の中に持ち込んで、それに火を点じ、ぢつと片手に
  持つてゐるのである。その明かりで、新聞を読むなどと云ふのではなく、
  ただ幌の内側を明かるくして、小さな部屋を造つた様なつもりでゐるに
  過ぎない。江戸川から大曲を過ぎて、飯田橋と九段下との間で外が
  明かるくなると、小さな蠟燭の灯を吹き消した。>(「竹杖記」」p25~26)
 
 蠟燭の明かりで、<小さな部屋を造つた様なつもりでゐる>、
年齢とは関係ない、子どもらしさに共感した。
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by byogakudo | 2009-08-24 13:16 | 読書ノート | Comments(0)


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