猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2009年 09月 13日

シリル・M・コーンブルース「シンディック」読了

e0030187_13105885.jpg












e0030187_13113059.jpg






click to enlarge.


 写真は、築地6~7丁目で。街歩きができる足腰でありたいので、とうとう
少しずつ、膝を守る体操を始めた。歩きたい街に着くまで、地下鉄の階段を
クリアしなければならない。

 昨夜、シリル・M・コーンブルース「シンディック」(サンリオSF文庫 85初 J)
読了。

 ユートピア小説で描かれる素晴らしい新世界は、ディストピアで終るのが
通例であるが、ここではシンディックという、北米大陸を占める非政府的
国家(?)が仮定されている。
 国家と呼びがたいのは、いっさいの組織を否定し、個々人の必要や欲望を
満たすに十分な供給があれば__パンとサーカスが供給されている社会で
あれば__、共同体はうまく機能していくという信念をもつエリート集団に
指導されているからだ。
 個人の自由が基本理念であり、パンもサーカスも要らないという個人の
自由も認められる。

 社会をコントロールする非世襲的なエリート一族が会議を開く。
 どうも、シンディックの富を狙う海賊国やモブという国家(?)から
スパイが侵入して破壊活動をしているようである。
 そこでエリート集団からも若い男女ふたりが、敵国にスパイとして
送り出されることになるのだが・・・。

 彼らの冒険よりも、社会的動物である人間にとって、どんな共同体が
理想的であるか、よりましな社会であるかを考えさせるのが、作者の
意図である。

 ギャング集団の出自であるらしい「シンディック」には、同時に
「サンディカ」の響きもあるけれど、絶対的自由が保証される
シンディックの社会は、よほどの理性的合理的人格者揃いで
ないと、そもそもの成立が難しいのじゃないかしら。

 わいろもギャンブルも乱交も、なんでもすべて承認される世界を
思い描いて、自分が今いる社会と照らし合わせてみよう、という
ことであろう。
[PR]

by byogakudo | 2009-09-13 13:13 | 読書ノート | Comments(0)


<< ジョン・ディクスン・カー「囁く...      小林力「斬らずの伊三郎」読了 >>