2009年 09月 15日

J・D・カー「囁く影」読了/「使者のノック」へ 他

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 写真は、小石川植物園で。


 「囁く影」の謎解き部分は面白くなくもなかったが、彼女がいかに
吸血鬼(ヴァンプ)であるかを前段で語っていた学者の、もってまわった
表現は、読者をミスディレクトする必要からとはいえ、読んでいて面倒くさく
なったのも事実だ。
 あんまりスマートな語り口とは思わない。
     (ジョン・ディクスン・カー ハヤカワ・ミステリ文庫 81初 J)


 それでも懲りずに「使者のノック」(ジョン・ディクスン・カー ハヤカワ・
ミステリ文庫 82初 J)へ。前者は1946年刊、こちらは1958年である。
 こっちの方が、断然いいじゃない! いまのところ。

 静かなアメリカの大学町で、地域の安寧を乱す、ヴァンプがらみの
トラブルが発生。カーはヴァンプが本当に好きなのだろう。

 冒頭のシーンは、英文学教授の家での、妙に迫真的な夫婦喧嘩から
始まる。結婚五年目、相手との生活にも狎れ危険な時期であると、夫も
語っているが、訳語で気になる箇所があった。

 「しかし」という逆接の接続詞を、女性が会話で頻繁に使うだろうか?
「だけど」とか「でも」ならしゃべり言葉として普通に聞こえるけれど、
「しかし」は書き言葉や特に意思を強調したいときならともかく、女の
口調としては強すぎるように思う。どうでもよいことだが。

 ついでに持ち帰った「猫が見ていた 猫ミステリー傑作選」(中島河太郎編
廣済堂文庫 86年? 裸本)も散読__こんな言葉はあるかしら?

 結城昌治「猫の身代金」の誘拐された猫は、犬であるならば駄犬(だけん)、
猫だから駄猫(だびょう)と主人から言われるが、
<「[略]まあ雑種ですね。三毛(みけ)といっても、斑(ぶち)になっている。
 毛なみがわるいし、雌ですが、器量もよくない。眼と眼の間が離れていて、
 おたふくのような丸顔で、狸(たぬき)みたいに太っています」
  短い尻尾(しっぽ)は団子をつけたようだという。>(p43)

 かわいい猫じゃないか。誘拐されてもおかしくない。
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by byogakudo | 2009-09-15 13:36 | 読書ノート | Comments(0)


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