2009年 09月 27日

シムノン「メグレとルンペン」読了/「メグレのバカンス」もう少し

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 写真は、築地6~7丁目の路地。バルテュス空間だ。人形町の路地にも
バルテュスを思い出させる場所があった。


 シムノンはこんなに貧乏くさく、せっつかれながら(誰に?と言えば、
自分自身)読むべきではない。ゆっくりパリの街や空気を楽しみながら、
物語に入っていくのが望ましい。と思いつつ、夜毎せっせと読み喰らって
いる。

 社交が仕事である億万長者の世界から、一夜にして今度はセーヌ川の
橋下に暮すルンペン(これはまだ自主規制用語ではないのか?)が襲われた
事件へ。

 1962年の作品であるが、この頃でもホームレスがいたので驚く。
「ポンヌフの恋人」__フランスの大竹しのぶが出てなければ良かった
__みたように、近年のアメリカ化の産物だと迂闊にも思っていた。

 ただ時代はまだ余裕があったのか、元娼婦のホームレス女性に、
<「[略]あたしらは無害な人間だからね。[略]みんながお互いの
 自由を尊重してるのよ・・・・・・みんながお互いの自由を尊重して
 なけりゃ、一体何だって橋の下なんかで眠るもんかね?・・・・・・」>
(p125)と発言させている。

 メグレ警視は元医者である襲われたホームレス男性に、なぜか
共感を覚える。彼の所持品を調べているとき、三個のビー玉を
見つけて、無意識にポケットに入れてしまう。
<ガラス製で、中に黄色と赤と青と緑の筋が見え、子供たちが
 五、六個の普通のビー玉と交換して、陽射しの中できらきらさせて
 楽しむ、あのビー玉である。>(p100)

 事件全体はやりきれない話だが、諦観と生きていることへの肯定的な
語り口が、後味の良さを残す。
     (メグレ警視シリーズ37 河出書房新社 79初 帯 VJ欠)

 「メグレのバカンス」も夜中に読み、朝も店に出かける前に読みしている。
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by byogakudo | 2009-09-27 13:19 | 読書ノート | Comments(0)


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