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某お客さまからお借りしたアルゼンチンのミステリである。
あんなに幻想と怪奇系小説の豊かな南米の地だ。ミステリが
書かれていてもおかしくない。日本に紹介されていなかっただけ。
世紀末のブエノスアイレス、靴屋の息子である主人公が、ブエノス
アイレス唯一の名探偵に弟子入りする。まだ冒頭部分なので、他の
弟子入り志願者たちとの探偵術入門風景が記されているが、どうも
メタミステリっぽい。
弟子のひとりの生意気な少年は、名探偵クライグ先生が
「われわれ探偵は芸術家であり、弁護士や裁判官はわれわれの
批評家だ」と述べるのに対抗して、
「殺人犯は芸術家であり、探偵はその批評家だ」(p28)と応じる。
ド・クィンシーを読んだことのある少年なので。
(ハヤカワ文庫 トールサイズ 09初 帯 J)