猫額洞の日々

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2009年 12月 08日

パブロ・デ・サンティス「世界名探偵倶楽部」読了

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 主人公がクレイグ名探偵の助手になるという導入部はやや退屈だが、
病いに倒れた名探偵の名代として、万博開始直前のパリに派遣されて
からは、ミステリ風にストーリーが展開する。

 エッフェル塔が建ちつつあり、万博会場のパヴィリオンも開場に
間に合わせようと、大忙しのパリである。「世界名探偵倶楽部」も
ブースを持ち、12人の名探偵がそれぞれの調査道具なぞを展示する。
 各人(日本人名探偵・サカワ氏もいる)が探偵術論という名目で
世界観を披露したりしているうちに、パリの名探偵がエッフェル塔で
殺される。

 エッフェル塔建設反対派のオカルティスト集団に殺されたのでは
ないかと考えた名探偵たちは、助手を従え、調査を始める。

 主人公である助手青年が、ユイスマンスみたいなオカルティストの
ところに行くと、ユイスマンスとガイタ(だったっけ?)の呪術合戦を
想起させる話を聞かされたりして、おかしい。

 しかし押し並べて、討論する場面の方がミステリらしいシーンより
面白く感じられるのは、メタミステリの宿命だろうか。

 探偵と助手の関係が話題に上り、助手は永遠に探偵には昇格できない
のかと、助手連が嘆いたりするが、探偵と助手との関係は、父と息子/
神と人間との関係に対応するのかと考えたりして、これならいっそ
ディスカッション小説として書いた方が、面白かったのではないか、
いや、ロジックが現実のできごとに曝され、検討されていくプロセスは
ミステリの形式だからこそ可能になるのか___なぞとあれこれ思考が
展開して行くのが愉しかった。

     (ハヤカワ・ミステリ文庫 トールサイズ 09初 帯 J)
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by byogakudo | 2009-12-08 13:30 | 読書ノート | Comments(0)


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