2009年 12月 29日

クリストファー・プリースト「スペース・マシン」読了

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 主人公ふたりは地球に戻るが、火星の怪物まで連れて来てしまう。
ウェルズ氏という男と知り合い、三人で簡略版タイム・マシーンを
作り上げ、火星怪物退治に成功するけれども、ウェルズ氏は唐突に、
不思議な一言を残して、彼らと別れる。

 あの長い長い退屈な火星の状況描写は、もしやエンディングの
異化効果を上げるために必要だったのかしら。
 梃の原理で、たった一言で、長く解りづらい火星の描写をひっくり返す。

 ヴィクトリアンが、火星に託して描かれる未来文明(つまり現代の地球の
状況)に接触したら、どんな言葉で状況を説明しようとするかを、あくまでも
ヴィクトリア朝の感受性と理解に即して書いてあるから、素晴らしい回りくどさだ。

 TVスクリーンなりモニターという言葉ですむところを、ヴィクトリア朝式に、
<[略]パネル上にさまざまの映像が投射されると、何台もの幻灯機が同時に
 映写を行なっているときの画面(スクリーン)に似ていなくもない効果が生じた。>
(p247)といった案配である。

 作者と読者との体力勝負だったのだろうか? ともかく読み終った。
     (創元推理文庫SF 79再 J)
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by byogakudo | 2009-12-29 15:16 | 読書ノート | Comments(0)


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