2010年 03月 04日

「土方梅子自伝」読了

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 昨日は失礼いたしました。

 土方与志夫人・梅子の語りを、和田静子が聞き書きしたもの。
明治の元勲の娘が、同じく華族の息子と恋愛結婚し、ふたりして
新劇からプロレタリア演劇へと歩んだ波瀾万丈の生の物語だ。

 明治に始まる義務教育が徴兵制とセットであるように、1930年代の
モダーニズムの日本は、戦争非協力者への弾圧と一組になっている。

 日本を逃れて新しいエルサレム=ソヴィエト連邦で暮らし始めた頃の
思い出には、いかに新生ロシアの人々が親切で幸福であるかが書かれて
いる。
 革命に伴う混乱が落着いた時期であろうが、数年を経ずして外国人は
スターリンにより追放される。
 第二次大戦中に帰国。反逆者である夫は、すぐに収監される。
 戦後、解放され、ふたりは共産党に入党を許可され、やっとここまで
来たと、感動する。

 「進歩的」という言葉が「プロレタリアとして正しい」の意味であった
頃の生涯である。
< その頃、労働者や勤労者を新興階級とよび、またその階級の側に
 立つことを意味して新興演劇、新興文学、新興映画、新興教育などと
 言っておりました。>(p177)

「昭和九年夏新興日本調標準図案集(着尺図案集)」という本を売った
ことがあるが、この場合の「新興」は、最新やモダーンといった流行言葉と
して使われているのだろう。

     (土方与志生誕一00年を記念する会発行 ハヤカワ文庫 99初 J)
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by byogakudo | 2010-03-04 15:24 | 読書ノート | Comments(0)


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