猫額洞の日々

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2010年 03月 06日

辻原登「抱擁」読了

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 お庭は駒場公園となって今も実在する前田侯爵邸に、前田緑子という
幼い娘がいたと設定される。少女の小間使いとして雇われた娘が語る、
二・二六事件が背景の哀切な怪談だ。

 「ねじの回転」が全体のトーンであり、読んだことはないけれど、娘が
緑子にお話しするのは「床下の小人たち」、家庭教師のミセス・バーネットは
「秘密の花園」や「小公女」のバーネット夫人を踏まえたネーミングであろうか。

 様々な本の記憶が呼び起され、それらが無理なく溶合い、二・二六の
雪に覆われ、エンディングのひとことで、状況がくるりと回転する見事さ。

 さすが、お師匠さんご推薦の一冊だ。一時間以内で読み終えられる小傑作
なのも、怪談らしくて素敵である。
     (新潮社 09初 帯 J)

 小説や映画の成分分析は楽しいけれど、確定申告の構造分析は、なんで
あんなに苦痛なのだろう。わたしの一日を返せと言いたくなる・・・。 
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by byogakudo | 2010-03-06 13:35 | 読書ノート | Comments(0)


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