2010年 03月 17日

紀田順一郎「鹿の幻影」読了/「非実在青少年」に関してひとこと

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 バブル前夜の神保町で古本屋が殺され、書痴ばかりのグループに疑いが
かかる、というミステリ。野暮くさい謎解きシーンがなければよかったのに。

 無理にミステリにせず、書痴の告白・プロパガンダ小説にしてもらいたかった。
"古い本は時間の運搬車(ヴィークル)である"というテーゼを展開する場面が
あるが、もっと、この路線で突っ走ってもらえたらと、読み終わって思う。
     (創元推理文庫 94初 J)


 漫画やアニメに登場する、18歳以下と思われる「非実在青少年」__
日本語センスがひどい!__の性描写を規制しようとする都条例が、
採決されるとかされないとかの話だが、馬鹿言っちゃいけない、ほんとに。

 石原慎太郎都知事兼作家(読んだことがないけれど、自費出版以外で
本を出していれば作家なのか?)宣わく、
<「私も表現者の一人だから、それなりの良心と常識で(規制が適切に
 行われるかどうか)判断しようと思う」>(東京新聞2010年3月16日朝刊)。

 ふうん、彼の気分次第で適切な性表現か不適切かが決定されるのね。
そういう状況を普通、ファシズムって呼ぶ。
 <それなりの良心と常識>ある作家ですか。それはプチブルと言います。

 社会的に見て、いい表現と悪い表現に分別する前提が、まず間違っている。
すべての表現行為が肯定された上で__そう、石原慎太郎の表現の自由も
認めた上で__取捨選択は個人の自己責任ってことだろう。

 気の小ささの反動で、いつも大きな口をききたがるコンプレックス男を
都知事に選んだ有権者の皆さまへの恨みは、続く。
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by byogakudo | 2010-03-17 13:30 | 読書ノート | Comments(0)


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