猫額洞の日々

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2010年 03月 18日

遠藤周作「ヘチマくん」もう少し

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 柳原良平のJ画がかわいい「ヘチマくん」(遠藤周作 角川文庫 70年7版 J)。
なんだか獅子文六に似た空気を感じると思っていたら、「箱根山」みたいな
展開になってきた。小説中にも箱根山戦争のエピソードが出てくる。

 但し箱根ではなく、桜島の熔岩地帯のリゾート開発で儲けようとする連中の
勢力争いに巻き込まれた、立身出世にまったく興味が持てない主人公・ヘチマ
くんの物語である。
 顔が長いというと「顎十郎捕物帳」を思い出すが、ヘチマくんは、
<「[略]俳優、伊藤雄之助を若くしたような顔のながい、青年[略]」>(p258)で、
大変気が弱い、巻き込まれ型ヒーロー(?)だ。

 昭和三十年代の東京風俗が描かれていて愉しい。冒頭、渋谷道玄坂を歩む
ヘチマくんが、タクシーの中から戦前・学生時代の級友に声をかけられる。

 出てくる店名や会社名は、すぐそれと解るような名前に置き換えられている。
銀座のフルーツ・パーラー「センブキ屋」、同じく銀座「サエグサ」が「アキグサ」に
変えられているが一ヶ所だけ、そのまま「サエグサ」になっている(p193)のは、
どうしたのだろう?
 お茶の水には、駿河台のM大学すぐ裏手に「ホテル・マウンテン」がある。
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by byogakudo | 2010-03-18 14:26 | 読書ノート | Comments(0)


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