2010年 04月 09日

楠森聰一郎氏の個展へ行った

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 03月29日付けブログでご紹介した、楠森總一郎氏の個展に行った。

 古典技法で描かれた肖像や静物の油彩が、サイズ様々に13点ほど
あっただろうか。モデルも写真も遣わず、記憶で描いたと伺う。
 黒っぽいトーンだが暗くはなく、むしろ軽やかな黒である。油彩で
重苦しくならないのが素敵だと、思う。

 部屋に戻って、また考える。あの屈託のない軽さは、なんであろうか、と。

 日本人画家の描く油彩は、かつて「洋画」と総称されていた。妙な名称だが、
ありとあらゆる西洋文明下の文物が、一斉に輸入された明治初期の命名かしら?
 それら「洋画」は、絵の具を重ねて厚塗りした分、思いが籠められると言わん
ばかりで、大抵、重っ苦しく不必要にシリアス、近代の鬱陶しさを感じない訳には
ゆかない作品だった。

 日本の近代の苦痛と吹っ切れたような、古典技法でありながらも軽さを見せる
楠森氏の作品であるが、彼において、近代という問題意識は、もう既に存在しない、
拘泥しないですむ事柄なのだろうかと、あらためて考え、結論は出ない。

 いまの油彩であることは確かだ。若い人々は、どう見るのだろう? 近代の地層は
埋もれ果てているので、なんでそんな問題意識があるのかが、まず解らないと
言われそうな気もする。

 日本の近代という過去は、ケリをつけられないまま、なしくずしに、もう終ったこと
になってしまっているから、考えなくともいい、とは思えないが。

 楠森氏の作品から、そんなことに頭が移行した。氏の次のシリーズは風景画に
なるそうだ。古典技法は続けられるのだろうか、伺うのを忘れた。

 恵比寿のギャラリーMalleで11日(日曜日)まで。最終日は4pm終了です。
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by byogakudo | 2010-04-09 14:40 | アート | Comments(0)


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