2010年 04月 10日

小島達矢「ベンハムの独楽(こま)」と多島斗志之「黒百合」読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 第一章で、これは!と期待したけれど、徐々に好感度がしぼみ、次回作に
期待することにした小島達矢「ベンハムの独楽(こま)」(新潮社 10初 帯 J)。
 ミステリ仕立てやSFタッチなど、工夫を凝らした連作短篇集だが、基本は
甘酸っぱ系青春小説であり、裏帯の<「奇蹟」と呼ぶほかない連作短篇>
という惹句は、誇大広告だろう。

 <「奇蹟」と呼ぶほかない>のは、スタージョン・クラスでなくっちゃ。
アイディアだけでは小説にならない。

 22歳の新人作家に対して、こちらは61~62歳のヴェテラン(読むのは、これが
初めて)作家・多島斗志之「黒百合」(東京創元社 08初 帯 J)。落着いた筆致が
好きだ。

 1952年・夏、14歳の東京育ちの少年が、父の友人の六甲山にある別荘で
夏休みを過ごすことになる。同い年の少年少女と知り合い、少年とは友情を、
少女には淡い恋心をおぼえる。

 なんだ、青春小説じゃん、と片づけないで。そのとき、簡単に記した夏休みの
日記の文面から、今は72歳くらいの主人公が、しみじみと夏の日々を思い出す
作りなので、懐旧の念がいとおしい。

 1952年のできごとと、彼らの親の世代が、戦前ドイツに滞在したときの事柄
とが交互に語られ、集結するが、エンディングのトゥイストは、どうかしら。
 ほの淡いまま終ってもらいたかったような・・・。
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by byogakudo | 2010-04-10 14:00 | 読書ノート | Comments(0)


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