2010年 04月 30日

吉井勇「墨水十二夜」読了/「市井夜講」へ

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 歓楽の後の哀しみ、というものがある。でもほんとは歓楽の真っ最中に、
これ以上はない、これが頂点で後は喪ってゆくだけだと、背筋に寒さを
覚えるような感覚が出現する。それが切実に描かれていた。

 主人公・墨水は破産状態なのに、前々からの約束だからと無理算段して
取巻きの芸者や幇間たちとの派手な新年会を開く。彼らが自分の「御沈落」を
解っていながら騒いでるのを知っている。使わせるだけ使わせ、なくなれば
次の旦那が現れるのを待つのが彼らの商売であり、遊びのルールであると
認識しつつも、到底穏やかな気持ちではいられないが、それでも、表面
ふだんと変わりなく振舞う。
 愚かという徳しか持ち合わせていない主人公であり、それはやはりうつくしい。
     (北光書房 47初)

 店の棚にもう1点、続編「市井夜講」があったので読み続ける。こちらは2冊
あった。
     (新月書房 47初)
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by byogakudo | 2010-04-30 19:16 | 読書ノート | Comments(0)


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