2010年 05月 03日

「spin 07」より鈴木創士「ジャスミン・ティー」読了/南輝子「沖縄耽溺者」より「神戸バンビ耽溺者」読了

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 吉井勇を読んだのは「隅田川今昔」に紹介されていたからであるが、
以前、鈴木創士氏が、
 「吉井勇って男っぽいところがある作家」とか仰っていた記憶もある。

 その鈴木氏から「spin 07」を頂き、早速拝読した。久々の鈴木創士氏の
短篇である。わくわくしながら読み始める。

 不思議な感触である。悪夢のマトリョーシカとでも言おうか。篇中にも
<短い切れ切れの夢中夢を見た。>(p63下段)とあるが、悪夢のマトリョー
シカはスライムで出来ているようで、どこまで行っても固定せず、震えた
ままである。
 揺らぎながらつながる悪夢は、現実のシーンにまで影響を及ぼし、小説
だから一応の結末を迎えるが、読者も又、どこまで続くかわからない不安の
連鎖に閉じ込められているのに気づく。

 言葉は一つの事象を特定し他の要素を排除する機能を持つが、そういう
性質の素材を用いて、どうして、こんなに不安定な表面が決定できるのだろう。
 怪談というなら、これこそ言語レヴェルでの怪談だ。

   (spin 07 みずのわ出版 10年4月 鈴木創士「幻脚記 六 ジャスミン・ティー」)

「spin 07」と共に、南輝子「沖縄(うちなー)耽溺者(ジャンキー)」という歌集も
入っていた。不思議に思ったが、「第三章『神戸バンビ耽溺者(ジャンキー)』」と
あるので了解。

 歌人である著者は、鈴木創士氏や中島らもより前、初期の神戸「バンビ」に
通いつめていた。かつての神戸のアンダグラウンド状況に加えて、最近の
鈴木氏のうつくしいポートレートが活写されている。
     (ながらみ書房 眩叢書第36篇 10年5月 帯 J)

 地球上の鈴木創士ファンの皆さん、鈴木創士の部屋 第2回 幻の『アントナン・アルトー全集』は、
もうお読みになられましたか?
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by byogakudo | 2010-05-03 12:34 | 読書ノート | Comments(0)


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