猫額洞の日々

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2010年 05月 08日

吉井勇「歌境心境」読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 趣味で仕入れた「ナタリー・ドロン 」(田山力哉編 シネアルバム21
芳賀書店 74再)は新着欄を経ず、08a 映画欄に直接入っています
(バルドーとヘプバーンの間)。 
 90年頃見た、彼女の監督作品、タイトルも何も覚えていないが、
小味な70年代のフランス映画みたいで感じが良かった。パリに暮らす
若い女たちの物語で、女優がナタリー・ドロン似なのが愛嬌だった。

 吉井勇「歌境心境」は、歌に関した随筆を、単行本未収録や、少部数の
本に収録されたもの、さらに既刊本からも取り出して集成した本であると、
後書きにあった。だから戦時色の強いものも含まれる。

 終わり近く、馬楽について書かれた短い数篇と、「珈琲」がいい。
 土佐の山中の庵から高知市内に降りてきたある日、ふと目についた
喫茶店に入ってコーヒーを頼む。
<[略]そのうち仄かに私の鼻にただよつて来た珈琲の香り。私は
 その時位、遠いさすらひの旅路にあつて、懐かしい三十數年前の
 「昔」を感じ、忘られぬ「銀座」のにほひを身に染々と感じたことは
 なかつた。>(p334)

 これで終っていたら良かったのだが、その後に、山の庵の炉端を
思い出し、
<そこには「今」の日本の素朴さが、黒光りのしてゐる自在の竹にも 
 現はれてゐた。>と結ばれる。蛇足としか思わない。
     (湯川弘文社 43初 函)
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by byogakudo | 2010-05-08 12:26 | 読書ノート | Comments(0)


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