2010年 05月 29日

(1)鮎川哲也「サムソンの犯罪」読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 それがレジ脇にあったから持ち帰り、読んだ「サムソンの犯罪」
(鮎川哲也 創元推理文庫 03初 J)、予想以上に楽しかった。

 鮎川哲也は、なんと原音表記原理主義者であった。
<いま内廻り線は新宿駅のフォームに入り、>(p77)
< 伊豆山のマンションでそのドンホァンの死を最初に>(p148)
<鎌倉みやげの菓子を皿に盛ると、ダイニングキチンのテーブルを>(p183)
__「ホーム」じゃない、「ドンファン」じゃない、「キッチン」でもない。

 それに、
<彼女の借金は、一介のオフィスガールの収入では>(p78)と、
「OL」表記もしない。職場名+「ガール」表記を問題視する向きも
あるだろうが。

 また、
< わたしは旧数寄屋橋の交叉点をわたり、新橋のほうへ向かった。
 わたしの心のなかの東京地図にはすべて「旧」の字がついている。
 それは麻布の旧市兵衛町(いちべえちょう)であったり旧笄町(こうがい
 ちょう)であったりするのだ。昔から伝えられた町名を、三丁目だの
 四丁目だのという散文的な数字に替えてしまったのは、地方出身の
 小役人の東京人に対する反感からでたものではなかったか、と
 わたしは思う。こうした役人共が歴史のある町名をいじくり廻すことにも
 腹が立つが、諾々として彼らのいいなり放題になった東京人の意気地なさ
 にも腹が立つのだ。>(p100~101)__そうだ、そうだ!__と、主人公の
探偵に述懐させている。

 弁護士から依頼されて調査する、元刑事の私立探偵が主人公。だが彼は
じつは迷探偵で、実際の名探偵は彼の行きつけの西銀座のバーのバーテン
である。
 アシモフ「黒後家蜘蛛の会」みたいと思ったら、1972年1月に鮎川・
アシモフ、それぞれのシリーズ第一作が雑誌に発表されたそうである。

2017年1月28日に続く(?)~
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by byogakudo | 2010-05-29 13:37 | 読書ノート | Comments(0)


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