猫額洞の日々

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2010年 06月 29日

前川清治「鎌倉アカデミア 三枝博音と若きかもめたち」読了

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~6月28日より続く

 著者は性格がいいのかしら、学園のうつくしい面だけ強調して、
暗い話は書かないようにしているみたいだ。すてきな学校だった
のは伝わってくるが、読後の印象は淡白である。

 ちょうど戦前から戦後への学制改革期にあたり、新しい大学として
申請しながら土地や建物を探すという同時進行作戦の無理が、「鎌倉
アカデミア」のその後に影響する。 

 善意の出資者であり学園理事長を勤めた久枝武之助であるが、
1946年の「金融緊急措置例」で資金が凍結されたことで、まず躓く。
 いつまでもお寺に間借りして授業を続ける訳に行かず、新校舎の
建設に奔走するも失敗。経営が成り立たないことの責任を取って
理事長を辞任した久枝武之助について、もう少し頁が割かれても
いいのではないかしら。
 学園経営者側と教師陣、学生たち、三者が同等に係って作ろうと
した学園の物語なのだから。

     (サイマル出版会 94初 J)
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by byogakudo | 2010-06-29 13:14 | 読書ノート | Comments(0)


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