2010年 08月 05日

岩本素白「素白随筆集 山居俗情・素白集」半分強

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 終わるのが勿体なくて、他の本をメインに、素白は一晩一篇見当で
読んでいるが、遅読も善し悪しだ。前に読んだ箇所を、面白かった・
好きだったとは憶えていても、鮮明な記憶とは言いがたく、素白の
世界に浸るためには、やはり専念すべきだった。けちくさい読み方を
するものではない。

 散歩のひと・素白、という印象だ。旅ではなく散歩である。旅行にも
出るけれど、基本的に毎日変らないペースで過ごすのが、好きなのでは
ないか。

< [略]八月になると私は久しく使はなかつた旅鞄を取出したり、志す
 土地々々の地図を開いたり、一日の行程を考へたりした。家の者たちは
 直ぐにも出掛ける事と思つて居たのに、私はそれから毎日の様に出歩いて
 幾日かを過した。それも常日頃は滅多に出掛けない銀座や日本橋の方を
 うそうそと歩いて居るのである。勿論旅で使ふ細(こ)細(ご)ました物を 
 買ひ整へる為では有つたが、自分ながら心の底に何か躊(ため)らひ又
 たゆたふ様な気持の有るのを感じた。
  [大きく略]
  [略]さて今度の旅も、是非出掛けようと思ひ乍ら、一面には酷く億劫な
 気分に沈み込んだ挙句、愈東京駅を発つたのは八月十二日の朝であつた。>
(p140-141)

<悪い癖で宿屋の褞袍(どてら)を着ることの嫌ひな私は、ほんの七八日の
 旅なのに、態々(わざわざ)鞄に入れて来た着物と着換へて、・・・[以下略]>
(p181)

 とてもよくわかる心理状態だ。ひとごととは思えない。
     (平凡社ライブラリー 08初 帯 J)




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by byogakudo | 2010-08-05 14:11 | 読書ノート | Comments(0)


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