2010年 08月 11日

殿山泰司「三文役者あなあきい伝 PART2」読了

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 ちくま文庫版の殿山泰司本が8冊、買取りで入った(感謝!)ので、
「あなあきい伝 PART2」(95再 J)から読み始めた。案の定、「PART1」の
記憶が薄い。戦争で弟さんを亡くし、嘆いていたように覚えているが、他は
白紙である。忘れるなら読むなって、言われそう。誰に?

 「PART2」は戦後から1970年代までの記録だ。

 獅子文六原作の「自由学校」映画化は、松竹の渋谷実監督、佐分利信・
高峰三枝子主演のは見ているが、同時期に吉村公三郎監督、文藝春秋社
社員の小野詮造(芸名:小野文春)・木暮実千代主演版「自由学校」が
あったとは。

  こちらには京マチ子、大泉滉も出演していて、
<大泉ポーのイカレポンチの役が、これまた好演で、この映画を機にイカレ
 ポンチという言葉が一世を風靡(ふうび)した。おれたち仲間で大泉のことを
 ポーと呼ぶのは、本名がポールだからであり、大泉黒石の倅だからハーフか
 クォーターの混血児である。>(p98)

 大泉滉。すてきなバイプレイヤーだった。成瀬巳喜男「めし」のアプレな
イカレポンチ振りも印象的だ。大泉滉はバイプレイヤーだと思うけれど、
殿山泰司には、「役者」というイメージがある。

 戦後、日活撮影所が再開されたことに付随して、戦前に合併された大都映画の
説明があった。
< 大都映画というのは、その前には河合映画といい、巣鴨の電車通りにその
 撮影所があった。[中略]ジプシー・ローズの旦那だった、旦那じゃねえな、
 よきパートナーというべきか、正邦乙彦もこの撮影所にいた役者である。>
(p161)
 ジプシー・ローズと正邦乙彦と聞くと、反射的にディートリッヒ・スタンバーグ組
を思う。

 実際はトイレットで死亡したようだが、わざわざネグリジェか何かに着替えさせ、
ベッドの周りに酒壜を散らし、ガウン姿の正邦乙彦が彼女を抱えている写真を、
友だちの写真家を呼んで撮らせた。
 「驚きももの木20世紀」という三宅裕司司会のTV番組で、それを見て感激した
記憶がある。
 自分が愛し作り上げた女の死に際して、死後も残るうつくしい伝説を捧げようと
した正邦乙彦の狂気が、感動させたのだった。




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by byogakudo | 2010-08-11 13:31 | 読書ノート | Comments(0)


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