2010年 09月 02日
click to enlarge. ~9月1日より続く 扉に書かれた粗筋によれば、ロシア革命を舞台にした20世紀版 「紅はこべ」みたように思えるのに、1/3まで来ても、<美貌の伯爵 夫人>の影どころか、時はやっと1917年、ロシア革命がどうやら 成功したばかりである。気長に読め、ということだろう。 主人公があんまり颯爽としてないのが美点。孤児の身を金持ちの 貴族の親戚に拾われ、教育を授けられる。ジャーナリストを志望 するも、はしっこさがなくて向かない。失恋やミスがあり、イギリスを 離れようと、自費でまかなう海外特派員になり、日露戦争の取材に 行けば、初めて見た戦闘の後、道端で買ったビールにあたって入院する 始末である。 いい奴でしょう? そのままロシアに滞在し、革命前夜のペテルスブルグで、英国諜報部の スパイになることを引受ける。スカウトする方も、受ける主人公も、 大丈夫なのか、彼で? いくら語学の才能があるからって、ロシア人と しての偽造身分証明書を渡しちゃって。 結局、政治犯としてシベリア送りになる。そこで数年暮らし、ようやく 解放されたが、英国人に戻る手だてはなく、それどころか、はずみで 殺人を犯し、被害者になりすますことで次の身分証明に変えるしか生きる 術がなくなる。 シベリアからモスクワへ向かう列車内で、革命軍側の「勝てば官軍」的 傍若無人振りが静かなタッチで描かれる。エリセーエフの自伝や何かを 思い出す、ロシア革命前後風景である。 (創元推理文庫 76年4版 J) 9月7日に続く~
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by byogakudo
| 2010-09-02 14:42
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