2010年 09月 20日
click to enlarge. 阿弥さんのヴォイス・パフォーマンスをライヴで聴くのは、数年前の ダンス・パフォーマーとの競演時以来だ。 ヴォイスと映像のソロ・パフォーマンスを見に、下北沢LADY JANEに 行く。Sにわたし、香水デザイナのL、亜湖さんと、若いお客さまで亜湖 さんの劇団員・I 君、総勢5名である。 ステージは狭い。小卓上に様々な小物が置いてある。マイクを前にした 阿弥さんは、落ちついた様子で静かに、次々にそれらを取り上げ、音を 出してゆく。 いや、順序立てて言おう。まず長いマッチに火をつけ、吹き消す。 次に小さめのマッチで同じ行為を繰り返す。火と空気(風)、四大の ふたつが聴覚と視覚とに示されるオープニングだ。 あとのふたつ、水はボトルに入っている。地は、阿弥さんの身体 そのものであろうか。 行為にともなう音だけで、空間が創られる。マッチをする音、鉛筆を 手回し削り器で削る音、スケッチブックにさらさらとデッサンするときの 鉛筆の音、ページをめくる音、音がしない行為なんて存在しない。 音叉が置いてある。太腿に打ちつけた音叉をマイクに近づけると、 音が発生する。同じ行為の後、音叉をカメラの金属部分にくっつけると、 より強力なノイズになる。 ボトルから水をグラスに注ぐ音、揺らす音。それをさらに貝殻に注ぎ 入れ、揺らす。 ひとつの行為にもうひとつのヴァリアント、という構造なのか。正が あれば反も同時存在する、ということだろうか。 シンプルな音源は(仕組みがよく解らなかったが)同時録音して 貯蔵され、delayされる。残響音の精製とその複合音は、最後に、 彼女がアカペラで歌う「The Crying Light」からの曲のバックに なる。見事な構成だ。 第二部は、室内やオブジェの映像を背景に彼女のヴォイス・パフォー ミングが全開する。 うなり声、うめき声、胸を叩いて胸郭に共鳴させる歌声、グレゴリア 聖歌調のラインなど様々である。歌詞は贋の言語あり、クリアな日本語 あり。わたしは死と再生の物語のように解釈したが。 山崎阿弥さんは昔から力のあるパフォーマーだったが、さらに着実に、 余力ある姿を見せてくれた。偉そうに聞えたらお許し願いたい。安心して 彼女の音空間に身を委ねられた、という意味である。 阿弥さん、愉しい一夜をどうもありがとう! (2010年9月19日 於 下北沢レディジェーン)
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by byogakudo
| 2010-09-20 14:09
| 山崎阿弥
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