猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2010年 10月 27日

(1)グレアム・グリーン「ここは戦場だ」1/3

e0030187_13232285.jpg






click to enlarge.


 20世紀の小説と映画の呼応関係がここでも見られる。
 オフィスより現場を好むヤードの警視副総監が、実労働と縁のない
大臣秘書を刑務所に案内する車内の描写は、そのまま映画の一シーン
である。

 車窓をよぎる風景__閉店時刻のおしゃれな服飾店、夕靄、テムズの
船やはしけと舞い上がる鴎、街並がだんだんうらぶれて来て古着屋・
公衆便所・夜学校が続く__の合間に、大臣秘書の空疎でエレガントな
おしゃべりが差し挟まれる。(p15)

 映画であれば、車内のふたりに続き、車外を流れる風景や人びとを
映しながら時々、オフで秘書の声がインサートされるだろう。

 神経をひりひり・びりびりさせて疾走するタッチだ。読みながら
60年代に録音されたグレン・グールドのベートーヴェンが聴こえて
くるような。

     (書肆パトリア 58初 J)

10月31日に続く~





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2010-10-27 13:23 | 読書ノート | Comments(0)


<< 一日中雨降り      矢野誠一「志ん生のいる風景」読了 >>