猫額洞の日々

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2010年 11月 03日

(2)片岡義男「映画の中の昭和30年代」もう少し

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~11月2日より続く

 片岡義男は1940年生まれだ。本の中で取り上げられる成瀬巳喜男
作品は、映画の中の時代設定と製作・公開年代とが等しいと考えられる、
現代劇16本である。

 ここで扱う昭和30年代は、西暦でいえば1951年から1960年まで、
片岡義男の少年期に当る。子どもの目に無意識に映った光景が、映画の
中で再現され、2007年・67歳の片岡義男が50~60年の歳月の隔たりを
通してそれを見直す作業である。
 一本の作品を何度も見返し、資料を参考にしながら、うっすらと覚えて
いる風景を記憶として言語化する行為だ。

 21世紀の現在、もはや失われた風景や人々の口調、ちょっとした仕草
などが丹念に拾い集められ、記述される。

 また、映画という、物語性をもつメディアの機能や構造を、小説家の
側から解説する本でもあり、納得がいかない「驟雨」のシナリオに
ついては、自分ならこう終わらせると、見事な短編小説のタッチで
描いてみせる場合もあり、片岡義男による小説論として読むことが
できる。

 登場人物たちの経済行為に注意を払い、日本全体が高度経済成長期へ
と推進される中で、彼らがどう生きようとしたか/したがらなかったかの
側面から考察する。

 映画が撮られたときは生活者たる大人の年齢ではなく、大人の脇で
時代を生きていた少年であり、映画を見直す2007年には、十分に大人
ではあるが、英語の視線で日本を見る大人であるという、二重の外部性の
眼差しによって切り取られた「昭和30年代」である。

     (草思社 07初 帯 J)

11月4日に続く~





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by byogakudo | 2010-11-03 14:59 | 読書ノート | Comments(0)


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