猫額洞の日々

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2010年 11月 15日

シムノン「男の首・サンフォリアンの首吊り男」読了

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 「中学二年コース冬休み臨時増刊第2付録 首つり男の絵」が売れる前に、
こちら「男の首・サンフォリアンの首吊り男」(シムノン 中央公論社 世界
推理小説名作選 62初 裸本)があったのを思い出していたら、読み合わせて、
ジュヴナイル用リライト技法が学べただろうに。惜しいことをした。

 メグレ氏が川に突き落とされそうになるシーンは、あったかしら? わくわく
どきどきさせて、結構、中学生が面白がれるように巧くリライトされていたと、
覚えている。
 関係者全員、子どもがいて家庭を守らなきゃならない立場にあるとか、自殺者の
兄や、別れた妻と子どもの貧しい生活とか、そんな大人の事情は省いて、それでも、
家庭人に収まる前の若いボヘミアン生活の匂いは残してあったんじゃないかしら?
 確認できないのがもどかしい。

 ドストエフスキーを「罪と罰」くらいしか読んでなくて、お師匠さんから、
 「『カラマーゾフ』に『白鯨』くらいは(ミステリ以外にも)読んでおくべきだよ」と、
呆れられた奴にもわかる、ドストエフスキー的人物造形だ。

 自殺した男は、仲間内の事故みたいな殺人事件ではあったが、その記憶に苛まれ、
自身や若い頃の仲間が、幸福な家庭人に収まることが許せない。彼らに忘れさせない
ためだけの恐喝行為を続けてきた。
 そこに偶然メグレ警視が登場し、ある行為を行なったことで男は絶望し、自殺する。

 メグレ警視の管轄する事件ではないのだが、(パリでの担当事件がなくて閑だった
のかしら?)、メグレ氏は独自に背景を探り、事情を知る。そして今現在の関係者の
立場、殊に彼らの子どもたちのことを思って、立件しない。

 時あたかもクリスマス・シーズンである。ドストエフスキー的登場人物+クリスマス・
ストーリーだ。





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by byogakudo | 2010-11-15 12:29 | 読書ノート | Comments(0)


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