2010年 11月 20日

鈴木創士「幻脚記 七 他人の記憶 夏の巻」読了

e0030187_1254466.jpg









click to enlarge.


 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄


 鈴木創士氏のツィッターは不思議なツィッターだ。中世スコラ哲学から
現代思想まで、シェーンベルクからヴェルヴェッツまで、硬軟取り混ざった
(路線ははっきり見える)折々の思考が窺えるが、夏前からだっただろうか、
「どぜう」だの「隣の坊主」だの「ん子ちゃん」だの登場する(「桃太郎異聞」
もあった)不思議な断片が出没するようになった。

 なんだか解らない、何なんでしょう? と思っていたら、「幻脚記 七 他人の
記憶 夏の巻」中に見たことのある断片が、ジグソーパズルのピースのように
はめ込まれていた。そういうことだったのか! ツィッターをメモ代わりに使って
いらしたのだ。

 今までの鈴木氏のエッジの効いた硬質の文体とは変って、なんと言おう、
図太い?、とぼけた文体だ。
 「他人の記憶」というタイトルからして太い奴だと思わせるし、<土方巽に
捧ぐ>なるエピグラフが続くと、いやはやただ者ではない、心して読みなさい
と告げられているような幻想文学である。ジャンル分けするなら、そうと言う
しかない。

 おまけに小説内小説として、中野のクラシック喫茶「クラシック」を舞台にした、
文中で「ん子ちゃん」がいみじくも言うところの私小説まで挟まれる。

 140字制限によるツィッターによって生み出された、鈴木創士氏の新機軸とも
言える、スィング感いっぱいの、死の影に裏打ちされた、高笑幻想文学だ。

 途中で、どうも「うたかたの日々」のパスティーシュくさい局面があり、
まさかボリス・ヴィアンも後年、日本語でこのような変奏が行なわれよう
とは、夢にも思わなかったことであろう。
 ぜひ、ご一読を。世界観が変わるかもしれません。

     (spin 08 みずのわ出版 2010年11月20日発行)

 





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2010-11-20 12:55 | 読書ノート | Comments(0)


<<  シオドア・スタージョン「[ウ...      青山界隈 >>