猫額洞の日々

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2010年 11月 21日

 シオドア・スタージョン「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」読了

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 表題作「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」が一冊の半分弱を
占め、残り半分強に五つの短篇が入っている。三番目の「必要」は、
なんだったっけ、ムックみたいな版型で読んだことがあった。再読
しても、好きな話だ。センチメンタルと言われかねない、ハート
ウォーミング系統の短篇集である。

 あとがきに、
<[略]スタージョンはたとえば「ブラッドベリに似ている」といった
 ような言われ方をしたことがしばしばあった。>とある。一見、
似たところもあるが、スタージョンは今でも/今だからこそ読めて、
ブラッドベリは今読むのは辛い。個人の嗜好だが、ブラッドベリを
再読しようとしてみて、できなかった。甘さが強過ぎて、読み続ける
気力が出なかった。
 センチメンタリズムに対する、二作家の処理方法の違いなのだろうか。
スタージョンだって、かなりどっぷりセンチメンタルをやってのけるが。

 高度な文明圏に属する異星人による、地球人観察実験レポートの
枠組みで描かれる「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」、原作は
1955年刊行の雑誌に発表された。

 50年代アメリカと聞くと、即座に「性的軋轢による神経症時代」
と、いつもの偏見が浮かぶ。
 「蠅男の恐怖」だったかしら、ハエの複眼に映る妻の恐怖の表情や、
映画全体に漂う圧迫感、あれを性的コンプレックスと呼ばずして、何を
そう稱するかというくらいだが、表題作に登場するひとりが、自分が
性欲的でないことに悩み、自殺しようと試みるシーンは、やはり時代を
反映している。

 ぼんやりと浮かび上がった拳銃のイメージがつきまとい、追われる
ように男はさまようが、気がつけばポルノ映画館の前である。
 ファリック・シンボルに続いてポルノ映画館、大変解りやすいが、
そういう時代なのだと思う。

     (河出文庫 2010初 帯 J)





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by byogakudo | 2010-11-21 14:01 | 読書ノート | Comments(0)


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