2010年 11月 22日

宮崎惇「ミスター・サルトビ」とサイモン・ブレット「手荷物にご用心」読了

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 やっと本の整理に手をつけ出し、処分する快感を覚えるようになったら
なったで、危うく捨てるところだった「ミスター・サルトビ」(宮崎惇
朝日ソノラマ文庫<36> 76初 J)を救助した。読むつもりはなかったが、
お客さまがいらしたとき手持ち無沙汰で、つい読み始めた。

 風太郎忍法帖ブームの余波の頃、書かれたのだろうか、初版は1969年
講談社刊。猿飛佐助の子孫が、60年代後半の東京で社会正義を貫き、
大活躍するジュヴナイル忍者小説だ。
 忍者が目にも留まらぬ速さで、ダンプカー(高度経済成長期である)
にはね飛ばされそうになった小学生を救うシーンから始まる。
 スピーディな文体で、忍者の素早さを表現する。なかなかと思って
いたが、後半、忍術技法解説書から引き写したような説明が増えて、
残念だ。山田風太郎は、なんといっても文体のひとだった。

 HPBが、まだ箱に手をつけ始めたばかりだが、700冊ほど入った。
 これと、ソノラマ文庫の幻想と怪奇ものを抱え込んで、引退しようか
という誘惑に駆られる。だめかしら。

 サイモン・ブレット「手荷物にご用心」(HPB 91初 帯)は予想通り
気軽な読物だった。文中で、自国以外の文化や文明に無神経な英国人
気質がからかわれているが、小説全体のトーンもまた、英国的控えめな
感受性を良しとする立場である。エンタテインメントとして愉しい。
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by byogakudo | 2010-11-22 13:11 | 読書ノート | Comments(0)


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