2010年 11月 25日

F・W・クロフツ「列車の死」読了/フランク・グルーバー「フランス鍵の秘密」へ

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 ドイツ・スパイ組織の陰謀に巻き込まれ、砒素中毒で殺されかけている
老女が出てくるが、フレンチ警部は、非常事態に一個人の、いや何十人の
生命であろうと、喪われても仕方ないと考える。個人より国家の存続が、
戦時下では優先されるべきだと、フレンチ警部は思う。

 そうかなあ。優先順位をつけるのは解る。個人の自由と平等という、
両立がむずかしい問題を解決するためには、国家という暴力装置を
必要悪として存在させるしかない、との了解はある(マルクスもレーニンも
読んだことがないのに)が、個人と大多数(国家)との利害対立は、実際
どうあるべきなのか、きちんと考えたことがなかったな。
 戦勝国の作家としては、国家が優位に立つのは当たり前かもしれない。

 公僕としてのフレンチ警部は、逡巡しながらも自分の死を覚悟しつつ、
手榴弾をスパイ組織の一団に投げつける。一個人の生命より国家の生命
という、自らの信念を全うする。
 関東軍とはずいぶん違う。読者としては救われるが、個人と国家との対立
関係の問題は、ペンディングのまま読み終えた。

 よく解らないのだけれど、三島は天皇制というシステムへの愛のために
死んだのかしら。(でもアリバイだと感じる。)
     (HPB No.328 57初)

 フランク・グルーバーは、「海軍拳銃」は読んだんだっけ? 何も覚えて
いないのが悲しい。





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by byogakudo | 2010-11-25 12:39 | 読書ノート | Comments(0)


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