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猫額洞の日々

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2010年 11月 28日

小林信彦・編「横溝正史読本」読了

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 うーん、かゆいところに、しっかり手を届けてくれた! 1976年に
単行本、79年に文庫版が出ていたのか。知らなかったのが悔やまれる。

 だって、博文館がどんな出版社だったか、イメージがわかないって、
そうなの! 小林信彦(1932年生まれ)でも、日記を出している出版社
という印象しかないから、「新青年」編集長・横溝正史に博文館について
訪ねることからインタヴューが始まる。

 取次店など、全部、博文館のおかげで大きくなったような、老舗の
出版社だが、講談社の攻勢に押されて、いつの間にか沈滞していた
出版社だそうである。
 そんな大のれんの下、モダーニスト編集長・横溝正史と、助手の
渡辺温とのふたりで、「新青年」を作っていた、という訳。院外団と
して、長谷川修二や水谷準、延原謙、乾信一郎などがいた。

 院外団の話から、もうひとつのかゆいところに行く。中村進治郎
その一員だった。
 延原謙・編集長時代の「新青年」で『ヴォーガン・ヴォーグ』欄を
担当していたが、本業は「不良」というしかない男だったそうな。
(「ブルータス」で見た記事はたぶん、この本から書かれたのだろう。)

 モダーンなセンスと才能がある。習ったこともないのに、横浜の
新聞に竹中英太郎そっくりの挿絵を描いていたり、器用だ。
 しかし本業は、あくまでも貴公子風ルックスを活かした「不良」。
引っかからない女はいなかったらしい。写真が残っていないのが、
ほんとにもどかしい。美男美女にも流行りがあるから。

 積年の疑問が、かなり解消した。あとは、坂本紅蓮洞について書いて
ある本は、どこかにないだろうか?

     (角川文庫 2008改版初 帯 J)





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by byogakudo | 2010-11-28 14:58 | 読書ノート | Comments(0)


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