2010年 12月 09日

イーデン・フィルポッツ「狼男卿の秘密」読了

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 怪談風味の普通小説のまま、地味に終わってもらいたかったなあ。

 代々伝わってきた古書にある呪われた人狼の詩は、自分の宿命を
指し示すと信じるウィリアム・ウルフ卿。彼を愛する周囲の人々との
間に交される、神秘主義対合理主義の議論。

 この調子で進んで、卿が従容として破滅を受け入れるという、静かな
エンディングであったら、第一次大戦の傷跡が癒えないまま、やがて
第二次大戦に見舞われる時代の、英国とその国民の不安や苦痛が、より
滲み出たと思うが、フィルポッツは親切(?)なので、名探偵を登場
させ、謎の合理的な解決を見せてくれる。

 解明にいちばん貢献したのが、
<いろいろ考えた末にわたしは古いなじみのジャック・スパローを
 思い出した。ジャックはもう長い間書物のこと以外は忘れてしまった
 と自称する古本屋だった。>(p289)。
 古本屋小説とまでの活躍ではないが、日本の洋風製本と、かの国の
製本との違いが決めて。

     (国書刊行会 ドラキュラ叢書7 76初 帯 J)





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by byogakudo | 2010-12-09 16:17 | 読書ノート | Comments(0)


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