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~12月23日より続く
陳舜臣はイギリス風のミステリが好きなのかしら。イギリス本格ミステリだと、
素人探偵は事実を解明しても、生き残った人々への影響を考えて公表を控えたり
するが、陳舜臣の素人探偵・陶展文も、ダメージを与えないよう配慮する。
探偵役のみならず、警察官まで同じように控えめな行動をとる。見て見ぬふり、
である。大人が大人に向けて書いたミステリなのだろう。
「枯草の根」では、sofaが「ソーファ」と、原音表記されていた。谷崎の初期の
何かでも、「ソーファ」表記があったような気がする。
コーヒーが「コーヒ」、overcoatが「オーバ」なのは、神戸弁原音表記か?
直木賞の「青玉獅子香炉」は、解説に依ると、吉田健一が新聞の文芸時評欄で、
<<・・・・・・この香炉が、この小説の光沢であり、においでもある。まだ古今
東西の文学に徴して類似の傑作が思い当たらない。>>と評したそうである。
惹かれる。
(講談社文庫 78初 J)
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