猫額洞の日々

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2011年 02月 21日

フランシス・M・ネヴィンズJr.「120時間の時計」読了

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~2月20日より続く

 コン・マンは様々な人物に仮装する、街なかの演技者だ。演じる役柄に
ふさわしい知識をもち、人物の背景に想像力を働かせ、一度きりの舞台を
演じきって、その街から立ち去るのが原則だ。

 あとがきによれば、作者フランシス・M・ネヴィンズJr.は、法学教授だ。
ミステリや映画、音楽(クラシック)・美術にも詳しい、教養ある作家。
 この本でも、知識・教養がふんだんに披露されている。

 殺された愛する女との回想シーンで、詐欺の関係者が全員、ロンドの
ようなつながりを持っていることを指摘する。

< 「回り回って、一つにつながる」わたしはうとうとしながら言った。
  「なあに、それ」
  「トリュフォーの<突然炎のごとく>。と呟いた。「ジャンヌ・モローと
 オスカー・ワーナー[注 ウェルナーにしてもらいたかった]、それに
 あとひとり、誰だったっけ[注 作者=主人公は、アンリ・セールと
 覚えていても敢て口にしないのが嗜みと思っているのだろうか?]。
 今のが挿入歌で、ジャンヌ・モローが歌うんだ」>(p63下段)

 金井美恵子だったか、<突然炎のごとく>にイカレたニューヨークの
インテリ夫婦の間で、娘にカトリーヌと名づけることが流行ったと、
馬鹿にしているのを読んだ記憶があるが、その手合いだと思う。
 でなければ、一人称で書き進められるミステリ中で、

< アーサー・ラットマンなる人物は、数ある名の中でもお気に入りの
 ひとつで、わたしはことあるごとにこの人物になっている。このアーサー・
 ラットマンは、言うなれば大都会の騎士、現代の英雄、つまり手っ取り早く
 言うなら、PI、オプ、ディック、ピーパー、シェイマス、すなわち私立探偵と
 いうわけだ。>(p49上段)と、書くだろうか。

 自分で、騎士って言うの? 臆面もないと感じるのは、わたしが日本人だから
だろう。どうも主人公(=作者)と気が合わない。

     (HPB 89初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2011-02-21 18:05 | 読書ノート | Comments(0)


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