2011年 05月 04日

黒岩涙香他「文豪ミステリー傑作選 第2集」読了

e0030187_1413262.jpg






click to enlarge


 黒岩涙香「無惨」や村上槐多「悪魔の舌」、岡本綺堂「兄妹の魂」、
火野葦平「紅皿」、柴田錬三郎「赤い鼻緒の下駄」は、以前読んで
いるので、残りの7編を読む。

 徳富蘆花「巣鴨奇談」は、お化け屋敷と呼ばれた江戸の武家屋敷
(下屋敷)が、明治になって洋館をつけ加えて郊外の別荘に転用され
るも、やはり因果が続く。
 名前しか知らない徳富蘆花だが、ちゃんと怪談のイキや、謎解きの
展開が解っている、じゃあないか。明治33年(1900年)刊行の「探偵
異聞」に収録された作品だそうだ。世紀末の明治31年には、「外交奇譚」
という本も出ているそうな。
 「不如帰」はどうでもいいけれど、「探偵異聞」と「外交奇譚」には
興味がある。オリジナルは高いだろうから、どこかで文庫版で出して
くれないかしら。

 大仏次郎「怪談」は、幕末の牛込、通寺町(とおりてらまち)の怪屋敷
から始まり、塔の沢の湯治場で解決し、話全体が語られるのは、明治
三十年の浜町の隠居所、という作りである。
 大仏次郎というと開化の横浜だが、これは違った。

 開化の横浜ものは、次の、吉川英治「ナンキン墓の夢」、山本周五郎
「出来ていた青」と続く。
 谷崎の描く、エキゾチックな横浜や神戸の洋館とライフスタイルといい、
横浜や神戸を舞台にした小説には、心惹かれる。

 久米正雄「嫌疑」、海音寺潮五郎「半蔀女」、吉屋信子「茶碗[注「碗」
は、実際は「怨」の心を皿にした字。]は、モダーンな心理小説。
 海音寺潮五郎はゴツいイメージがあるけれど(読んだことがない)、
「半蔀女」は、なかなかおしゃれな心理ミステリだった。
     (河出文庫 85初)





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2011-05-04 13:53 | 読書ノート | Comments(0)


<< 平山蘆江「小説 ひだり褄」読了      本田靖春「警察(サツ)回り」読了 >>