2011年 05月 05日
click to enlarge 戦前の花柳界が舞台だが、いつ頃の戦前かと読んで行ったら、尼港 (ニコライエフスク)事件のせいで世の中がごたつき、自前になろうと している芸者のヒロインの引越先が決まらなかったり、芸者屋の亭主 (元軍人)が、もう芸者の芸では古い、エロ・グロ・ナンセンスの風潮を 当込んで、抱えの芸者をヌードダンサー集団に変えようと試みる初日に、 関東大震災が起きたりする、大正期・1919年末から1923年末までの 山の手(たぶん神楽坂)花柳界の物語だった。 同じく芸者であっても荷風のヒロインだと、あくまでも滅びゆく うつくしいオブジェとして、男の(作家の)眼差しの対象として存在 するが、平山蘆江「小説 ひだり褄」では、女性の職業としての芸者像、 自立志向の女性像が描かれる、経済・風俗小説である。 ヒロインは古風に芸熱心だし、周囲への気の使い方や理解が細やかで、 江戸前の芸者風な気持の強い女性なのだが、旦那取りすると束縛される ので、極力、男からお金をもらうことを拒む。ここらの頑なさを芸者の 意地と見るか、どうか。 ヒロインの実家が東京ではなく、信州出身であるのと、関係しているの だろうか。 (住吉書店 52初)
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by byogakudo
| 2011-05-05 13:59
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