猫額洞の日々

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2011年 06月 10日

戸塚文子「お邪魔さま」読了

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 写真の窓に使われているのが、ダイヤガラス。普通の透明ガラスより
少し厚手で丈夫なのと、表から見えないので目隠しになる。薄いグレイの
曇りガラスも、昔はよく見かけた(今でも当店の奥では用いられている)。
 縦筋が入った窓ガラスもあった。なんだか近代的(!)で窓の表情が
明るくなり、好きだった。以上、若い方に向けての註釈。

 蔵前の帰りに買った「お邪魔さま」(戸塚文子 ポケット文春 65初 J)を
一昨日くらいに読了。江戸時代から1960年代までの広告、PRの変遷が
メインのエッセイ集。近代化まっしぐらの当時の様子が窺われて面白い。

 日本製というと高品質と思われる現在だが、60年代辺りではヤワな作り
のものが多い。ブローチのピンが、
< 針先がにぶくて、薄物ならあいた穴がふさがらず、生地を痛める。
 針身があまくて、厚地だと、止めないうちに、ひんまがる。薄地でも
 二、三度すると、曲がって止め具にとどかない。その止め具がまた、
 あまいのか、調子がよくないのか、知らないうちに、はずれてどこかへ、
 落っことす。とにかく、ピンの出来がよくないのである。>(p141)

 近代化すなわちアメリカ化であったことが、『コンセント』というエッセイに
よく表れている。
< 日本の都市のビジネス・センターの夜は、闇黒に閉ざされて、そら恐ろしい。
 すべてのオフィスが、消燈するので、ビルはまっ黒な怪物と化すからだ。
 アメリカのビジネス・センターは違っている。オフィス・アワーが終って、働く
 人たちがみんな帰宅したあとも、空っぽの部屋に、こうこうと電気がついている
 のである。[中略]電力料金が使えば使うほど、安くなるのだという。[中略]
 個人のアパートや住宅でも、夜の外出にあかりを消さない例が、多いようだ。
  ホテルなんかでも、私が貧乏人根性を出して、スイッチを切って外出して、
 帰ってくると、あかあかと灯がついていた経験が、何度もあった。[中略]
 アメリカの電化生活の根底には、豊かで安い電力という裏付けが、あるように
 思われる。>(p163~164)

 永遠に続く原発事故処理の日々に読むと、失ってしまったモノ・コトの大きさに
やりきれなくなる。

 地下に原発を作る?! なに言ってるのだろう。使用済み核燃料の安全な処理が
できないのに、まだ地震国に原発を作り続けたい、という頭が解らない。
 日本中の原発が順次、定期チェックに入る現在こそ、原発中毒から抜け出す
いいきっかけではないか。





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by byogakudo | 2011-06-10 12:41 | 読書ノート | Comments(0)


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