2011年 07月 29日
click to enlarge 店に来るときは裏の住宅地を、帰りは方南通りを使う。 あの猫に気づいたのは今年になってからだろうか。西新宿に向って 左側の歩道、植え込みの中で、どうも見たところ、用を足していた。 「道を渡ったりしちゃいけないよ!」と、声をかけて通り過ぎた。 それからときどき見かけるようになった。注意して歩くようになった からでもある。 車道のすぐ傍、植え込みのあるガードレール脇で、車のヘッドライトや テールランプなにするもの、平然と涼んでいたり、ビル脇の白い塀の上に、 擬態してるみたいに(白に少し茶が混じっている猫だ)蟠っていたり。 いつの間にか青い首輪までしている。 たまに昼間にビル前を通るときがある。印刷所かなにかで、日中はいつも シャッターが開けっ放し、男のひとたちが忙しげに出入りしている。 印刷物の山の脇で悠然と、あの子はお昼ね寝していた。ピンクの座布団も 敷いてある(春頃の話)。 中年男性から、短い外箒でからだを掻いてもらっているのも目撃した。 2、3日前、早めに締めた帰りがけ、入口の土間は暗いが、まだビル奥の 部屋に明かりがついている。あの子は机の上でブラッシングしてもらって いた。 「ここかね?」 「ああ、そこそこ」、という吹き出しが聞こえそうな情景だ。女性の いない中高年男性ばかりの職場で、完全にアイドルだ。 やってもらってる猫と、世話をしている人間と、どちらがより幸福だろう。 夕べも植え込み脇で会った。通りすがりの人間から声をかけられても 撫でられても、慣れっこなので、それがどうしたと言わんばかりの面倒 くさそうな反応をする。 さっきも会った。小雨もよいなので、あの子のいる植え込み脇には、 ガードレールに結びつけた白いヴィニル傘がさしかけてある。 あの子は夕べと同じように、働く人々にも通る人たちにも無関心そうに、 「のうのうと」を絵にした風情で坐っていた。
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by byogakudo
| 2011-07-29 11:57
| 雑録
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