猫額洞の日々

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2011年 08月 24日

四方田犬彦「日本映画史100年」読了

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 映画が日本において、どのように受容されて来たかを、社会との関係に
目を配りつつ、ほぼ10年単位で記された映画史だ。

 『第4章 戦時下の日本映画』には、こんな記述がある。
<国策映画に関わった監督たちのなかには、三〇年代初頭に左翼運動に
 参加したり、傾向映画に身を染めた体験をもつ者が少なくなかった。
 田坂具隆、今井正、山本薩夫がそれにあたる。彼らの多くは戦後、
 ただちに豹変して民主主義を主張し、左翼陣営で活躍した。イデオロギー
 の方向はかくして逆方向となったが、いずれの場合にもアメリカが敵で
 あることには変わりがなかった。>(p101)

 『第7章 第二の全盛時代へ 1952~60』では、木下恵介『二十四の瞳』
や市川崑『ビルマの竪琴』等について、
<そこに共通しているのは、戦争被害者としての日本人という自己認識で
 ある。たとえば『ひめゆりの塔』では、近代日本がいかに沖縄を収奪し、
 その住民たちに皇民化教育を施したかという視点はない。[中略]
 とはいうものの、日本人の死者だけが鎮魂に値するという論理はどこ
 までも日本人にとって居心地がよく、九〇年代にいたるまで形を変えて
 新保守主義者の訴えるところとなった。>(p139~140)

 日本の戦後史を考えるための一冊。
     (集英社新書 2000初 J)





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by byogakudo | 2011-08-24 12:34 | 読書ノート | Comments(0)


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