2011年 11月 16日

行商

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 買取りにお宅へ伺うのが古物商許可証ではなぜ、「行商」と呼ばれるのか
不思議なのだが__そりゃあ、行って商うことには違いないけれど__、
ともかく、その「行商」に行って来た。

 近場だがバスを使う。窓からいつもの免税店の看板が見える。初めて、
ROLEXが中国語で「労力士」と書かれているのに気づく。知らなかった。

 日本橋で育たれた方のお宅だ。うらやましい。神田とか浅草、日本橋
生まれなんて聞くと、即座にすてき!と反応するのは、さみしい田舎町で
育ったからである。

 木村伊兵衛の写真で、1936年・東京で撮影した「煙草屋」という写真が
ある。
 カウンターをはさんで、煙草屋の主人と若いチャイナドレス・ハイヒールの
女性が喋っている光景だが、あれが、わたしの東京の原型であり、幻景だ。
 もはや存在しない東京(都会)だが、記憶のかけらが残っている限り、そこは
わたしの東京であり続け、ここで死にたいという希望を抱かせる。

 買取りを済ませた後は、ぽつんぽつんとお話ししながら、時々お客さまも
わたしも本に目を通し、つい読んでしまう。伺った頃に奥様が外出され、
なんだかお留守番の子どもが二人いるような風景になった。
 行商が仕事ではなく、お呼ばれみたいになることが、わりとよくある。
ほんとに古本屋なのかしら。





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by byogakudo | 2011-11-16 12:27 | 雑録 | Comments(0)


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