猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2011年 11月 27日

横溝正史「憑かれた女」2/3

e0030187_12533879.jpg









click to enlarge


 表題作「憑かれた女」は、1933年(昭和8年)10~12月にかけて
「大衆倶楽部」に連載された。
 '30年代の不良少女がヒロイン、「憑かれた女」である。怪奇な
幻覚を無視するために、<アダリンをボリボリ齧(かじ)りながら
酒を呷(あお)っている>17歳だ。

 彼女が連れ込まれる屋敷が六本木にある。
< 時刻はすでに十時過ぎ、六本木界隈(かいわい)は元来が淋しい
 ところだから、その時刻には灯の気もなく寝ている家が多かった。>
(p49)

 ヒロイン・エマ子の男友達(もちろん不良青年だ)が警察に追われ、
ふたりは<丸の内のお濠(ほり)端にある>帝都ホテルで秘かに会う。
 < ルーフガーデンでは目下(もっか)納涼大会が開かれていて、エマ子
  が上っていったときには、ミッキーマウスの映画がはじまっていた。>
(p75)

 彼は警察に見つかり、ホテルの外壁に付けられた花火型のイルミネーション
を伝って逃走する。周囲の人々は、
 < 「あら、すてき、外国映画みたいよ」[中略]
   「よう、よう、イルミネーション男!」>(p81)と騒ぎ立てる。

 満州事変・上海事変が起きていても、まだエログロ・猟奇ものが
書けたようである。

     (角川文庫 1977初 J)





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2011-11-27 12:54 | 読書ノート | Comments(0)


<< 寒々しい      佐野洋「折々の犯罪」も読了 >>