2011年 12月 10日

ダシェル・ハメット「デイン家の呪」読了

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 「私」こと、コンティネンタル(探偵社の)オプは、薬物治療にも
詳しい。
 デイン家の娘の軽いモルヒネ中毒を治すために、薬局に以下の
薬品を注文する。
<「M(モルヒネ)五十グレインと、カロメル=イペカック=アトロピン
 =ストリキニーネ=カスカラを調剤したしたやつを八回分[以下略]」>
(p198上段)

 彼の力づけと説得を受けて、デイン家の娘は山の保養地で、薬を抜く
ことを始める。
 第一日の朝食時、モルヒネ十グレインの薬包を渡され、彼にひとりに
させてと頼む。
<私は部屋を出て、ドアをしめ、それによりかかりながら、紙のカサカサ
 いう音と、コップにスプーンのあたる音とを聞いていた。[中略]
  私はふたたび室内に入った。盆の上のまるめた白紙が、薬包の残骸の
すべてだった。>(p205下段)
 使用前は<眼は涙でうるみ、顔はやつれて、灰色がかっていた>彼女
だが、使用後は<半ば眼を閉じ、金魚をたらふく食べた猫みたいに心地
よさそうに枕に背をもたせかけていた。>(p205~206)

 翌日午後は、朝食抜きで混合薬を摂る。6時間おきに三回、与えられる。
その次の日は、モルヒネ十グレイン、さらにその翌日は混合薬だ。

 4日目、薬が身体から抜けてきても、心は薬物中毒から抜け出せない。
もう一生、モルヒネ無しで生きるかと思うと、不安に襲われる。
 彼女は、くしゃみとあくびと涙に悩まされるが、健気にも<笑おうと
つとめて>(p210下段)いる。
 夕方以降は、
<[略]くしゃみとしゃっくりに攻められどおしで、さすがに眼から涙を
 流して、すすり泣いていた。顔もからだも手も、汗でぐっしょりぬれ、
 いまは食べものもまったく喉へ通らなかった。私はオレンジ・ジュース
 だけを彼女に与えた。音と匂いは__それがどんなにかすかな、どんなに
 心地よいものであっても__彼女には苦痛を与えるらしく、たえずベッド
 の中でからだをよじったり、びくびく震わせたりしていた。>(p212下段)

 のたうち回り、悪夢にうなされる一夜を過ごした彼女は、5日目、さらに
長い苦痛の一日を迎える。薬欲しさに彼女は、でたらめな告白もする。
 辛ければ頑張るのを止めてもいいのだと、「私」は彼女に告げる。

 6日目の早朝、治療開始後はじめて、彼女は静かに眼を覚ます。
<その顔はやつれてはいたが、もう狂暴な眼ではなかった。>(p224上段)
 ちょっと荒れることはあったが、穏やかにその日を過ごす。 
 二ヶ月間、山地に留まった彼女は、完全に回復してサンフランシスコに
戻る。

 しかし彼女は、どんな形でモルヒネを摂取してたのかな? 注射器の
ことは書かれてないし、スニッフだろうか。

 こういう細部だけノートしてるものだから、どんな話だったか、すぐ
忘れちゃうのだろう。

     (HPB 1956年)

 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄 





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by byogakudo | 2011-12-10 13:11 | 読書ノート | Comments(0)


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